表現型の構成を理解する

  • こちらで、疾患という表現型を医学部教育でどのように学ぶかについて考えている
    • 表現型が重層的・相互連携的にできているときに、そのどの段階・どの部分・どの関係性と、遺伝要因(こちらの設定も問題になるのだが…)が関係するのかを設定することが、遺伝統計学のスタディデザインとも言える。そういう意味で、『遺伝統計学』的課題になる
  • その学習過程を「見える化」することで教育効果が上るかどうかを検討している
  • 自分の中に染み付いてしまった分野において、それを「知らなかった」段階に立ち戻って考えるのは、「すでに知っている」というメリットがある
  • が、「すでに知っている」というのはデメリットとしても作用するようだ
  • なので、「まだ知らない分野」を学習する、というパターンも同様に検討し、相互補完することにメリットがありそうだ

ぱらぱらめくるSMITH's Recognizable Patterns of Human Malformation

Smith's Recognizable Patterns of Human Malformation, 6e

Smith's Recognizable Patterns of Human Malformation, 6e

  • 先天奇形の表現型の特徴は、形態を中心にした多彩な複数の表現型の異常の組合せとなっていること
  • その理由は、以下の2つだろう
    • 1 発生時期の観点から同時発生するために、表現型が組み合わさること
    • 2 大きな染色体異常が多数の遺伝子の異常を組み合わせること
  • このような表現型の組合せのカタログとしての本書が、どのような章立てになっているかを知ることで、表現型の組み合わせをどのように整理することができるかを臨床知の一部として学ぶこととする
  • 見返し
    • システムの発生時期別の状態チャート
      • 概観
      • 中枢神経系
      • 顔面
      • 四肢
      • 腸管・腹部
      • 泌尿生殖
      • その他
  • Chapter 1 奇形の認識可能なパターン
    • A 染色体異常症候群
    • B 高度な低身長、骨異形成を除く
    • C 中度な低身長、顔面奇形を伴い、生殖器奇形は±
    • D 老人様外見
    • E 初期成長が早く、随伴表現型を有する
    • F 脳 and/or 神経骨格系の異常、随伴表現型を有する
    • G 顔面の異常を主体とするもの
    • H 顔面と四肢の異常を主体とするもの
    • I 四肢の異常を主体とするもの
    • J 骨軟骨異形成
    • K 骨大理石化を伴う骨軟骨異形成
    • L 頭蓋骨癒合
    • M その他の骨格異形成
    • N 代謝蓄積症
    • O 結合組織異常
    • P 過誤腫
    • Q 外胚葉異型性
    • R 外的要因によるもの
    • S その他の異常兆候の組合せ(症候群)
    • T その他の順序異常(左右の問題とか、相対的位置関係の異常とか)
    • U 第1、第2鰓弓異常による、異常組合せ
    • V その他の異常組合せ

ぱらぱらめくる『自己・あいだ・時間』

自己・あいだ・時間―現象学的精神病理学 (ちくま学芸文庫)

自己・あいだ・時間―現象学的精神病理学 (ちくま学芸文庫)

  • こんな話もした
  • 精神疾患の遺伝因子解析は歴史が長い
  • その成果産出にはかなりの困難が伴ってきている
  • その一つの理由は表現型の取り方の困難さによるのは間違いない
  • この本をぱらぱらめくることで、精神科領域を端緒として、解析用表現型の定義について応用の効くアイディアを拾ってみたい
                          • -
  • 同一疾患の型分け
    • 複数カテゴリからの単一選択ではなく、複数選択を基本とする
  • 病的表現型と、それに結びついているように見える病前性格とのN対M関係の偏り
  • 表現型に自他関係が入り込むこと
    • 自他関係という環境の微分が表現型を左右する?
    • 自は1つ、他は複数。この自他関係空間は多次元、多次元格子?、格子は歪みがある?
  • 「時間認識」
    • 楽天的と悲観的とに「時間認識」が関係する?
    • 現象の微分が表現型を決める?
  • 微分偏微分
    • ある要因による微分(偏微分)が大きく表現型に寄与しているとする
    • そのときに、他の要因の微分も影響を与える
    • 直接因の勾配が急なとき、九十九折で上ることが可能ならば這い出せるが、それが可能なのは、周辺の要因の作る勾配(偏微分)が緩いことが前提、とか
  • 循環病質の病前性格
    • 3特徴あり、1つは全員にあてはまり、残りの2つは2つの亜群に対応付けられるという
    • 循環病質に関する記述を考えるとき、観察項目が量的であり、その「平均」に関する形質なのか「分散」に関する形質なのか、それよりも高次のモーメントに関するものなのかという視点を入れると、数量的表現が可能になりそうに見える
    • また、分散が個人内のことであるなら、分散の大きさである「振幅」とその「周期」とを記載することは重要
  • ストレスを契機にする…
    • ストレスって何だろう
      • 「負荷」
      • システムが「負荷」とみなす何事も「負荷」
      • システムにとっての「負荷」とは、「守るべきもの」のかく乱要因と言えるのか
      • システムについて、状態時空間内の軌跡で考えると、「かく乱」は軌跡をある方向へ引っ張ったり、前後に動かしたり、かき回したり、一定の「風」を吹き付けたり、ちょん切ったり、することと言えようか
    • ストレスがうまく解析に乗せられると、ずいぶん、見通しはよくなりそうだ
    • 心的ストレスも身的ストレスも
  • 自然言語表現と数学用語表現
    • 「精神医学書」の性格を持つ本であるから当然であるが、「自然言語」で書かれている
    • しかしながら、多数の数量化表現や運動状態表現が出てくる
      • 「直線的」「動揺」「平衡」・・・
      • それを言ったら、身体医学用語も・・・
        • 「発赤」「腫脹」「硬化」「角質化」、山のようにある
    • それらが数式・確率的にどのように書かれるかを整理するだけでもずいぶんと(解析側からすると)見通しがよくなるのでは
  • 外界との反応
    • 外来刺激の処理の「異常」として精神疾患を見ることもある
    • 外来刺激の処理の「異常」には花粉症をはじめとするアレルギー反応もある
    • 外来刺激だけでなく、内発刺激の処理も「異常」になるかもしれない
    • 「がん細胞」は内発異常であり、それへの対処を誤ったためにできる
    • 「自己免疫疾患」も内発異常であり、「反応」の失敗
    • 感染微生物を入口で排除しようとする闘い、入ってきたあとに、外敵として対応する場合、内在化してしまって対処することになった場合(結核とか)、潜まれてしまった場合(慢性キャリア)
  • アイデンティティ
    • 精神科でのアイデンティティとそれに関する不具合がある
    • 免疫学的なアイデンティティとそれに関する不具合には、移植・免疫抑制・GVHDなどがある
    • 多重人格は、複数のHLA型の混在状態(HLAでは混在は、原則として生存不能だが、精神の場合は、それほどでもない、とか。それを許すことを前提に、どの程度、いかにして許すか、とか…)とGVHDが複雑化したもの?
    • 精神科でのアイデンティティは、「0か1か」ではなく、「A、B、C…の共存関係は?」とか「順序・半順序は?」とか、「グラフ理論的関係とその安定は?」とか、そんな取扱いがふさわしいかもしれない。それは、精神科だけではなく、複数の状態の混成として存在する身体的・生理的な何か、にも当て嵌めうる考えかたではあるだろう。そのような何かがあれば、ですが
  • 「○○は一義的に定義できない」
    • 一義的に定義できないからと言って、「複雑怪奇」にして、解析不能の罠に陥っていないだろうか?
    • 複数の定義があって、それが独立なら、定義ごとに検定をして、ボンフェロニするなり、FWERするなりすればよい
    • 複数の定義があって、それが従属なら、パーミュテーションして、統計量の相関を含めて判断材料に持ち込めばよい
    • 「『一義的に定義できない』のは、おまえだけじゃあない」
  • 器質的と機能的
    • 「あからさまな形の変化」があれば「器質的」
    • 「器質的」でなければ「機能的」
    • 「器質的」と「機能的」が根っこで同じなのか違うのか、それが問題だ
    • 「器質的」尺度と量的関係にある「機能的」尺度があって、「機能的」尺度が「器質的」変化なしにも、変化するとき、両者はつながる
  • 感じ方が変わること
    • 情報処理プロセスに、不連続な変化が起きるとこうなるだろう
    • そのうえで、過去の記憶があることも「感じ方が変わった」ことを認識するための要件だろう
    • 錯視・錯覚はそんなものの短時間バージョン、幻肢とかもあります。「記憶を神経がつかさどっている」場合
    • 記憶を神経以外がつかさどっている場合としては、「閉経と更年期障害」とかもあるのでしょうか。「周期」を記憶しているのに、そのように(予測したように)ならないから、不調になる。「船酔い」もそうかもしれません。薬物依存もそうかもしれないです。時差ボケも。
  • 妄想の2種
    • 他者が関与する妄想とそうでない妄想
    • 他者が関与する妄想はゲーム理論的なので、ダイナミズムが生じうる(振り切れることもある、消滅することもある)
    • 他者が関与しない妄想は平衡状態に達するだろう
  • 情報の受け入れと処理
    • 視覚情報は視神経を通じて脳内に入り、処理されることを繰り返され、処理の仕方が確定していく
    • 聴覚も。嗅覚も。味覚も。触覚も。
    • 刺激があって、それへの対応パターンが作られる
    • 触覚だけでなく、皮膚の化学刺激(蚊に刺されるとか)も。
    • 外来からの物質刺激の受け取りということでは、免疫反応も(ただし、その処理パターンは「脳」がやっているわけではないか…)
    • 複合的刺激・入力(会話とかコミュニケーションとか)も、「専用の知覚器官」がないだけで同じこと