責任多型分析



疾患感受性多型解析において、候補部位を連鎖不平衡ブロック単位に絞り込むことは、ブロックの定義につき若干の議論の余地を残しているとはいえ、問題なく行えると言ってよいであろう。不平衡ブロックに認められた感受性の由来多型の同定は、分子生物学的・介入実験的解析が不可欠であるが、ジェノタイピンブデータの統計遺伝学的検討からは、どのような手法でどのようなことが言えるだろうか。コンセンサスが得られていない部分ではあるが、Am. J. Hum. Genet. 77:567-581, 2005 VEH Carlton and AB Begovichら http://www.journals.uchicago.edu/AJHG/journal/issues/v77n4/42585/brief/42585.abstract.html:Abstractの採用方法を例示する。

  • 残存SNP関連検定

単一SNP解析により、最強関連を持つ多型を除外した後、その連鎖不平衡ブロックに依然として関連する単一SNPが残存しているかをpermutationベースで検定する。このプロセスは次点のSNPに関連が認められなくなるまで繰り返すことができる。

最強関連SNPとその他のSNPとで作るSNPペアについて、4ハプロタイプを推定しそれらについて関連検定を行い、最強SNP単独の効果か、最強SNPといずれかのSNPとのペアによる効果かを検定する。

  • Conditional Logistic Regression Analysis (CLR Analysis)

最強関連SNPのジェノタイプによって、条件化(層別化)した上で、それ以外のSNPひとつひとつが有するphenotypeを引き起こすRRを計算する。計算にあたっては、条件化(層別化)に用いた多型の保有アレル数につきLogistic regressionを用いている。保有アレル数の効果としては、本論文ではadditiveモデルを使用しているとの記載がある。最強SNP(同一ローカス内)以外にも、条件化(層別化)に適した遺伝多型がある場合には(本論文ではHLA領域多型)、それ(ら)についても条件化(層別化)を行うことが可能である。

  • Relative Predispositional Effects Method(RPE)

関連の認められたハプロタイプを検出した後、さらに、それ以外のハプロタイプに残存関連が存在するかどうかを分割表検定にて検出する解析。

  • Haplotype Regression

Haplotype単位でのregression(RのHaplo.stat package CRAN - Package haplo.stats)を使用。使用法は-> ryamadaの遺伝学・遺伝統計学メモ - Rのhaplo.statsの使い方(1)概要とインストール

  • Haplotypeのdiplotypeを用いたConditional Logistic Regression

個別SNPジェノタイプデータより、個人のハプロタイプセットを推定し(本論文では、SNPAnalyzerを採用)個々のハプロタイプのRRを推定。基準ハプロタイプは、最頻ハプロタイプを採用している。