不老長寿



昨日の記事で、黄金比のことを書いた。

フィボナッチ数列黄金比の関係を考える上で、ウサギのつがい問題としての側面から光を当てると、『不老長寿の理想』を黄金比が表していることがわかる。

フィボナッチ数列をウサギのつがい問題に照らして読み下すと、初期値として1つがい存在する。1単位時間が経過するあいだに、そのつがいは生殖年齢に成長する。次の1単位時間の間に、そのつがいは1つがいを産み、併せて2つがいになる。このとき、初期つがいは繁殖能力を維持し、生まれたつがいはまだ繁殖能力を有していない。次の1単位時間に、初期つがいが2つめのつがいを産み、つごう3つがいになる。このとき、初期世代と、最初に生まれたつがいの2つがいが繁殖期にあるので、次は2つがいが生まれる。この生まれるつがいの数は、2単位時間前に存在していたつがいの数に等しい。

このようにして計算されるフィボナッチ数列は、1単位時間前のつがい数と2単位時間前のつがい数の和とみなせる。これは、生物学的には、「1世代前に存在していたつがいは決して死なない」かた、「2世代前に存在していたつがいは、繁殖能力を持つ」となる。このようにして、「不老不死」のまま「永遠の生殖能力」を有する生物の増加を表しているのがフィボナッチ数列であり、その増加の速度を係数として表しているのが、黄金比である。

なお、増加の係数は、初期つがい数によらないし、つがいが生殖年齢に達するまでの期間によらない。少しくらい、成熟に時間がかかろうと、「一度生殖能力を獲得したら、永遠に生殖能力を発揮し続ける」「決して死なない」の2点を満たす生物の増加は、黄金比で増える、といえる。もし、このような黄金比を生物である人間が「美しい」と感じるとしたら、それは「不老長寿への夢」を感じることができるから、というような、センチメンタルな解説文をつけることも可能であろう。

それよりは、不老長寿ではない、生物現象は、黄金比からどのようにずれるのか、そのようなずれは、数学的にどのように示されるのか、について検討することが、なにがしかの理解を助けるように思われる。