カイ自乗値の作る等高線の形

  • カイ自乗値は一般に以下の形をしている
    • \chi^2=\sum_{i=1}^{k} \frac{\delta_i^2}{(\sqrt{exp_i})^2}
    • ここで、kは分割表のセル数、\delta_iは、各セルの観測値と期待値の差(観測-期待差)、\exp_iは期待値を表すものとする
    • この形はk次元楕円である(k次元単位球を、各次元の方向に\sqrt{exp_i}倍、引き伸ばしたもの)
    • 等しいカイ自乗値をとる\{\delta_i\}は、k-次元楕円の表面の点である
  • 観測数の周辺度数による制約
    • 分割表においては、列・行それぞれにおいて、観測-期待差の和がゼロになるという制約があることから、上記のカイ自乗k-次元楕円のうち、\{delta_i\}がとりうる部分は、観測-期待差制約を満足する部分となる
    • n\times m=k分割表のときには、n+m個の制約式があり、それぞれ、原点を通るk-1次元平面に対応する
      • たとえば、2\times m=k分割表の場合には、\delta_{i,1}+\delta_{i,2}=0というk-1次元平面や、\sum_{i=1}^m \delta_{i,1}=0というk-1次元平面などである
    • 今、n\times m=k分割表の自由度はdf=(n-1)\times (m-1)であるから、\{\delta_i\}df-次元空間に分布している。つまり、k-次元楕円と、複数のk-1-次元制約面との交点が、df-次元空間に分布していることがわかる
  • カイ自乗値の等高線
    • 等しいカイ自乗値をとる点は、k-次元楕円の表面の点であるから、等しいカイ自乗値をとる点は、そのような、k-次元楕円殻と、観測-期待制約面との交点となる
  • 多次元楕円については、こちらのページを
  • 2\times m=k分割表において
    • k-次元楕円を考える
    • \delta_{1,i}=\delta_{2,i}なる関係があるので、この場合のカイ自乗値は、\chi^2=\sum_{i=1}^{k} \frac{\delta_i^2}{(\sqrt{exp_i})^2}=\sum_{i=1}^m \delta_i^2\times (\frac{1}{exp_{1,i}}+\frac{1}{exp_{2,i}})=\sum_{i=1}^m \delta_i^2\times (\frac{exp_{1,i}+exp_{2,i}}{exp_{1,i}\times exp_{2,i}})となり、m-次元楕円になっていることがわかる。ここで、唯一のこされた制約\sum_{i=1}^m \delta_{1,i}=0を入れると、これは、m-次元楕円と、2次元平面との交点をなしていることがわかり、これは、m-1-次元である
    • 今、すべてのセルの期待値が等しいとき、楕円は正円となり、この場合に、カイ自乗値の等高線はこの交差空間(m-1-次元空間における)、m-1-次元球表面になる
    • このの球表面上に配されたm個の点は、このm-1-次元球表面に均等に配置されている
      • 参考記事はこちら