Decanalizationによる複合遺伝性疾患の説明

  • Decanalization and the origin of complex disease. G Gibson nat revies genet 10:134-140 2009
    • モデル
      • Common disease-common variant モデル
        • 集団における頻度が多型域(1%以上)の多型が疾患の遺伝要素の何分の一か程度の寄与をしているとするモデル。
      • Rare alleles of major effect モデル
        • 疾患の頻度はcommmonだが、その遺伝的背景は異なり、低頻度(1%未満)のバリアントがそれをホモで持ったり、異なる変異のヘテロだったりすることで発症するとするモデル。個人に限ってみれば、このホモ、もしくは、変異ヘテロが、疾患の遺伝性の大方の部分を説明すると考えるモデル。そのような低頻度変異は数百に及ぶと考える。
      • Infinitesimal モデル
        • 多くの座位が影響するが、その寄与はRRとして1.2未満。それぞれの座位が全遺伝因子に占める寄与分は数%程度。いわゆる連続形質(身長などのような)と同様の形質になっており、それらは、頻度として高い多型も低い変異もあり、それぞれの寄与分は小さいながらも、大小あると考える。その寄与分が非常に小さいものも考慮すれば、座位数は非常に大きいと見なせるので、infinitesimalなモデルである。
    • Decanalization
      • 進化の過程で、多型のバリエーションは生存環境に適した状態にひとたび達したと考える。その後、ヒトは適応した環境とは異なる環境へ移住したことで、遺伝的多型の状態は環境に最適化した状態といえなくなった。さらに、近年の近代化に伴う環境変化も遺伝的多型の状態にとって不適当である。このように、「最適化された遺伝的多様性が、生活環境の変化により、不適当な面が出て、それがcommon diseasesの昨今の頻度増大をもたらしている」とする考え。特に生活習慣病やアレルギー疾患の好発化を説明する説。