Complexity, Compassion and Self-Organisation: Human Evolution and the Vulnerable Ape Hypothesis

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    • 簡単に言うと、脆弱・不利な表現型をもたらす個体も含めて生存しなくてはならないような小規模集団でのサバイバルが課された結果、みんなで協調・助け合ってやっていくという性質が定着した、と考えるのがよいのではないか、という人類史的な内容を、古くからの人類進化学に関する知見に言及してまとめた文章
  • 1 イントロ
    • 内容は、人類が構成してきた文化についての進化的考察
    • 平衡状態になってしまうのが物理の法則であるところ、種がある特徴をもち集団を構成し文化をなすというのは、複雑さのという意味で反対方向。そのような現象の物理化学的説明やカオス理論などがあるが、そんな意味合いで、人類の今を説明してみよう
    • そんな協調するという特徴を伝える動画
  • Synergetic and heroic models of fitness
    • 最適者生存 survival of fittest
    • 共進化による特徴の形成 co-evolutionary
    • 自然選択説での説明 natural selection
    • 確率による説明は熱力学的な説明・統計力学的説明でもある
    • Symbiogenesis(ミトコンドリアの取り込み、とか)
    • それを拡大解釈すれば、種を超えた「情報交換」
    • 複雑さの定着・大幅な変化が生物の進化の特徴であると言えるが、それは、非線形状態空間モデルで説明できる
      • 集団の状態を非線形で表せば、あるときは、安定的な状態に居続けるが、ちょっとしたトリガー・変化によって、ガラッと変わった状態に素早く遷移し、新たな安定状態になるということが説明できる
    • Extended synthesis in evolutionという概念が提唱され、最適者生存やランダムな変化、ドリフトなどでは説明のつかない複雑さの達成を説明するものとして表れてきた。複雑さ・思いやり表現型・自己組織化など、従来の概念では説明できなかった(しにくかった)現象を説明する理論のことである
  • 2 非線形モデル
    • ゆっくりした連続変化として進化の説明をしようとした(Darwinism and Goldilocks)けれど、急激な変化もやはりあるでしょう(非線形モデル)
    • 経時的に非対称でアトラクタ間のシフトが起きる(アトラクタは安定状態)。準安定状態(Metastability)に落ち着きうるし、そういう準安定状態は複数ある
  • 3 Plesionic Science and Reflexivity 相互作用を考慮した状態変化・発展
    • 相互作用や出来上がった状態に積み重なる形での状態変化・発展は、それが確率事象であるとき、予測可能ではない状態の軌跡をもたらす
  • 4 集団としての進化
  • 5 隠れながら遺伝子は残っていく
    • 何か特別な時に役に立ち、そうでないときにはよくない働きをするような遺伝子も十分に残る。鎌形赤血球や、英雄的行動〜危険な行動など
    • 均質で『最適と思われる』ところに遺伝的に収束するようになっているのではなくて、『多様性を確保』する形で進んでいると考えるのが妥当
    • Apesは種を超えて交配したりするなど、従来の考え方を超える進化史が背景にあることがわかってきた
    • 分子時計理論などが当てはまらないような集団サイズの変化や移動などがあったらしい
  • 6 因果関係で説明しきらない
    • 決定論的な考え方ならば、「こうだったからこうなった」になるが、非線形・積み上がり式状態発展・確率事象、となると、「こうだったのにこうなった」的なことの積み重ね
  • 7 『脆弱性をもたらすと見えるバリアントを守りながら進化してきた類人猿』仮説
    • やっかいな機能をもつバリアントが決定的な役割を果たさないような制御機構をその他のバリアントの保持によって達成したりする
    • ある時は「役に立たない」ようなバリアントも、個体レベルで助け合って集団内に存続させておくことも必要になる。なぜなら、小集団でかろうじて生き残っていかないといけないから
    • "de novo copying erros in the geneic code"