自由確率論・量子確率論

  • いわゆる確率論と違う確率論として「自由確率論」とか「量子確率論」と呼ばれるものがあるらしい
  • いわゆる確率論が確率変数が取る値が集合の要素であって、集合の要素に非負な確率密度(確率質量)があって、それを全部積分して1になる、というものなのに対して
  • 自由確率論・量子確率論では、確率変数が可換とは限らない要素に対応して、その要素を複素数に対応付ける関数が定義されているものになっている
  • 「1」に大事な意味があること、「非負」に大事な意味があることはいわゆる確率論と同じであるが、なにが「1」でなにが「非負」かというところが拡張されている
  • どうしてそんなものが「確率論」なのかというと、量子力学とかでは、対象(質量とか運動量とか)が作用素になっていて、それらに「確率」を考えることになっているわけだが、その質量とか運動量とか(それらは非可換)の確率論をしたかったのが動機らしい
  • 動機は量子力学だが、応用範囲は広いらしい
  • ひとまずの資料はこちら
  • 自由確率論・量子確率論では、代数的確率空間((A,\psi)というペア)を考える
  • Aは*-代数(「スター代数」)と呼ばれるもので、\psiは状態と呼ばれる写像A \to \mathbf{C})である
  • *-代数Aは、複素数体\mathbf{C}上の代数である。言い換えると、要素に和と積が定義されていて、複素数倍もうまく回り、積は非可換でもよいようなもの。多元環。さらに条件がついて、複素正方行列の共役転置が満足するようなルール(それを対合 involution と言う)を持つ。それが*-代数
  • 何のことかわからないので、例で考える
  • 2つの例を考える。複素正方行列全体と、(1x1実行列としての)実数全体との2つで確認することにする
  • また、この状態(という写像)には正方行列が1対1対応しており、その正方行列は正定値でトレースが1であるという性質を持つ。これを「密度行列」と言う。状態が「確率密度」になっている、というのが、量子力学的(状態は確率密度分布)な状態表現であることに対応している


  • n項のいずれかを取るような確率質量分布は(p_1,...,p_n);\sum p_i=1,p_i \ge 0となる(いわゆる普通のn状態の分布)。とりうるすべての状態はn-1単体に相当するが、それを「状態」と考えるとき、その状態関数(写像)を\psi (a) = \sum p_i a_iとし、それに対応するn次元複素ベクトルaが*-代数になっていてくれると、代数的確率空間で話ができるようになる。そのような*-代数として、n次元複素ベクトルについて、ベクトル和と、「積」として、要素ワイズの積をとり、対合として、要素ワイズの共役複素数を取らせることで作ることができる。ほら、普通の正単体が表す確率分布空間が代数的確率空間として記述てきた〜 というのはひとつの例