駆け足で読むトポロジーの絵本 第5章高次元空間の影

  • ローマン曲面
  • n次元射影空間は、n+1次元ユークリッド空間の原点を通るすべての直線の全体である


このメビウスの輪は、幅がないけれども、「表と裏」はあって、黒が表、青が裏。黒い直線上の丸点から、四角点の方向に歩き出した1次元空間上のヒトは、四角点を通り過ぎ、無限遠に達したあと、青い直線上をマイナス無限遠から、青い直線上の丸い点にやってきて、さらに、青い直線上の四角点を過ぎ、無限遠点からマイナス無限遠点を経て、黒い直線上の丸点に戻ってくる。このメビウスの輪は、輪に表と裏という区別を入れることで、2次元空間(平面)上の存在として実現できて、表と裏とが連続しているという意味で、ねじれている。
これを2次元空間(平面)を3次元射影空間に起こしてやって、ひねって縫い合わせようとすると、3次元空間内では実行できない。より高次の次元に起こしてやることが必要であり、それがこの章で取り扱う、『メビウスの輪』に円盤を縫い付けた『立体』の描図であり、ローマン面、云々である。次元が3より大きいことから、もちろん、その全体像が3次元の静止立体となることはありえず、「絵」という「3次元立体を2次元上に描いたもの」にもしえない。3次元の「静止」立体となることはないが、時間という次元を、立体の用いることで、時間によって変化する3次元立体であれば、「時間によって変化する2次元像」として表現することは可能である。また、時間以外に、何かしら、「余分な次元」の情報をになわせる工夫(色変化、とか)してやれば、2次元にてその姿を伝えることが(不完全ではあるが)可能となる。