駆け足で読む『組みひもの数理』
大学教養・高校数学オリンピック向けの講義・セミナーを下敷きにした組みひもの話。
群とか、わからなくても、どういう方向でひもの話を抽象化したいのか、ということを理解するのにとてもよい。
ひもや紙などを実際にいじりながら読むと特にわかりやすいと思います。
群とか、わからなくても、どういう方向でひもの話を抽象化したいのか、ということを理解するのにとてもよい。
ひもや紙などを実際にいじりながら読むと特にわかりやすいと思います。
- 第1話 アルティンの組みひも群
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- こうなっていれば、極体が引っ張れば、必然的に、モザイクができそう。絡んでいるから。もし、だと、するりとほどけてしまって、モザイクにならないだろう
- コアレセントグラフは、塩基に関する木の透視図(重ね合わせ図)。これは、「組みひも」じゃなくて、「樹状物の組みひも様」とでもなるか…。「樹状物があみだくじ的に交換している(男前・女前を無視)様」とでもなるか…。すると、この「樹状物」には、「群」がある?それとも、別の演算ルールがある?
- 第2話 リンクダイアグラムとライデマイスター移動
- リンクダイアグラム
- リンクはいくつかの結び目が互いに交わることなく絡み合ったもの
- 輪ゴムのような「ほどけている結び目」を「自明な結び目」と呼ぶ
- リンクは輪ゴムのような円が複数あるときにそれらを3次元空間に置いて、それを平面に投影したもの
- リンクダイアグラムはその影について、重なりの上下関係がわかるように、下になる線が切れたように描いた図
- ライデマイスター移動
- リンクダイアグラムは、線が切れないように、線と線との重なり関係が変わらないように滑らせることで描かれ方が変わる
- ライデマイスター移動はそんな滑らせ移動の実施パターンのことで3種類ある
- 無向と有向
- グラフには無向グラフと有向グラフがあるが、リンクにもある
- 異なる結び目の間の有向リンクが作る交差点には2種類あり、正の交差点と負の交差点と呼ぶ
- 絡み数={(正の交差点数)−(負の交差点数)}/2を定義すると、これは整数であって、ライデマイスター移動によって変わらない。リンクに関する不変量である
- 結び目の合成と分解
- 2つに分解すると、かならず片方が自明な結び目となるとき、その結び目は「素」な結び目と言う
- 最小交点数
- リンクダイアグラムはいろいろに描けるが、交点数を最小に描いたとして、その交点の数をそのリンクの最小交点数と言う
- 最小交点数をそろえてリンク列挙することができる
- グラフでノードの数(とエッジの数?)をそろえてそのパターンを列挙できるのと同じようなもの
- リンクダイアグラム
- 第3話 組みひもとリンク アレクサンダーの定理
- 組みひもの両端をつなぐとリンクができる
- アレクサンダーの定理
- 『すべてのリンクはある組みひもの両端を閉じたものとしてあらわすことができる』
- ただし、1対1対応ではない
- さらに、一つのリンクは、組みひもの本数が異なる組みひもにも対応しうる
- 異なる組みひもが同じリンクに対応するとき、組みひもに対応する組みひも群の要素の間には、操作が存在して、それを『マルコフの操作』と呼ぶ
- リンクをある方法で開くと組みひもになる
- 開くにあたり、リンクダイアグラム上の点と基準に、すべての線の回転方向が同じになるようにしてからその点を通る半直線で開く(回転方向が同じになるようにライデマイスター移動ができるのであるが…)
- ザイフェルトサークルは有向リンクのダイアグラムの一つ
- 座位フェルト曲面もそう
- リンクは表裏の区別のある曲面の教会として表すことができる。この曲面は座位フェルトサークルに対応した何枚かの円板と、それらをつなぐひねりのあるバンドからなる
- ブレイド(組みひも)指数
- リンクに対応する組みひものうち、最小組みひも本数のものが必ずあるが、そのひもの本数
- ブレイド指数とザイフェルトサークルの描き方の方法の数に関係がある
- 第4話 カウフマンのブラケット多項式とジョーンズ多項式
- 第5話 組みひもと統計力学モデル
- 点の生成・消滅過程
- 生成
- 組みひもを下から上へと眺めていくと、何もなかったところに点が現れ、それはすぐに2つの点に分かれることがある。これが生成
- 消滅
- 逆に2つの点が1つになって消えることもある。これが消滅
- すれ違い
- 2点がすれ違う様子は2通りで描ける
- リンクダイアグラムに対応するグラフ
- 点の生成・消滅・すれ違いを、それぞれ、ノードと見立てる
- ただし、ノードは、生成・消滅・すれ違い(男前・女前を区別)ごとにことなるものとする
- ボルツマンウェイト
- リンクダイアグラムに対応するグラフのエッジに2状態(+,-)を考えると、スピンの上向き・下向き(イジングモデル)のように考えられる
- 4種類のノード(生成・消滅・すれ違い2種類)には、そのノードに接続するエッジの+/-パターンで値を与えるものとする。この値の与え方をボルツマンウェイトと言う
- ボルツマンウェイトを全ノードについて掛け合わせて、そのグラフの値を定める
- すべてのスピン状態について考えて、それぞれのグラフの値の合算が、リンクダイアグラム(生成・消滅・すれ違い過程)の不変量(統計和・分配関数とも呼ばれる)
- 生成
- ブラケット多項式を与えるボルツマンウェイト
- ライデマイスター移動に関する不変性とヤン-バクスター方程式
- 分配関数としてのブラケット多項式
- 組みひも群の行列表現
- 点の生成・消滅過程
- 第6話 ディラックのストリングゲームとベルトのトリック
- ディラックのストリングゲーム:回転群の2価性
- 球面組みひもとその自明
- 群であることがよくわかる
- 第7話 組みひもと4元数 スピノールの存在
- 第8話 パウリのスピン行列 組みひもから4次元時空へ
- 第9話 自由群に作用する組みひも アレクサンダー多項式
- 組みひもは「具体的」なもの
- 組みひも群は組みひもの群表現
- 自由群(Wiki)に対応させることで、抽象的に扱いやすくなる
- 第10話 組みひもとトーラス
- トーラス上の閉曲線が絡み合うことで組みひもが作れる
- 楕円曲線とトーラスの関係
- 組みひもの作用は楕円曲線の周期としてあらわせる
- 組みひもの作用を表した行列がモジュラー群
- トーラスと3本の組みひも
- トーラスは2つの球面をそれぞれ2点を結ぶ線で穴をあけて、貼り合わせたもの
- 2つの球面、4つの点で作られた
- 4つの点のうち、1つは、無限遠点にして、残りの3点のまわりをまわることを考える
- 点のまわり方は組みひもに対応できる
- 今、3つの点を回るから3本の組みひもに対応する
- トーラスで組みひもを考えるときは、3本の組みひものこと
- 3つの点を基準にして、トーラス上の点を考える
- トーラスは2つの球面の貼り合わせなので、それぞれの球面に由来する点のペアが、「3点との関係で対称的」
- トーラスの面は「面」なので「2次元」
- 「2次元」の座標は、複素数で考えれば、1つの複素数に対応させることができる(複素平面がそう)
- トーラスの面も複素面で考える
- 2つの球面に由来するので、「貼り合わせて」ある複素面
- 貼り合わせたものは「リーマン面」
- トーラス上に3つの点をとる
- のいずれもが複素数
- というような関数を作る
- この式を満足する複素数のペアは、一つのに対して、2つのが対応する
- [tex;y=\pm \sqrt{(z-\alpha)(z-\beta)(z-\gamma)}]だから
- を図にしようと思うと、両方とも複素数で、それぞれの位置座標に2次元が必要なので、4次元空間が必要。それはちょっと難しいので、に2次元(普通の複素平面を与え、はその実部のみ(虚部のみでもいいが)を割り当てて「見える」ようにすることも可能。そんな絵が、こちら。
- 第11話 組みひも群のモノドロミー表現とタイルばり
- 付録 結び目のバシリエフ不変量