シミュレーション



12月27日の記事で、互いに近い亜集団のSNPアレル頻度をfを用いてシミュレーションすることを書いた。

隔離された期間のあるような亜集団間では、このシミュレーションだけではうまく行かない。たとえばHapMapプロジェクトで見られるアジア2民族(日本人と中国人)のSNPアレル頻度をコプロットすると、掲載図(オリジナルのJPGはこちら)のように正相関する群と逆相関する群に分かれる。もともと同じ頻度であった多型がFixationしていく過程は、正相関直線(y=x直線)から逸脱していく分を表す。逆に、逆相関直線(y=1−x直線)から逸脱していく分は、一度、逆アレルに固定したあと、マイグレーションなどによりアレル頻度の混じりあいが起きたものに相当する(と思われる)。

実際のポピュレーションベースのケースコントロール解析では、このようにFixation過程のアレル頻度の違いと、一度、亜集団特異多型として固定されたものの混ざり合いのアレル頻度の違いを反映してくる。

Genomic control手法が対象としているのは、その論理から行って、前者のFixation過程にある群のみとなることに注意を要する。