遺伝的浮動

太田朋子博士の文化勲章

今年の文化勲章受章者の発表がありました。マスコミでは、ノーベル賞の大隅先生が一番大きな扱いで、遺伝学の太田先生のそれは非常に地味な扱いでしたが、さすがに国立遺伝研にはきちんとプレスリリースがありました(こちら) 受章功績の一番のものは「ほぼ中…

アレル間の取引

こちらがメモ

駆け足で読む『偏微分方程式入門』

偏微分方程式入門 (基礎数学)作者: 金子晃出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1998/02/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 26回この商品を含むブログ (3件) を見る 部構成 第I部 偏微分方程式の立て方 第II部 偏微分方程式の解き方 第III部 偏微分…

簡単なモデル

こちらの続き 有限な2次元格子空間を考える 時間経過は離散的な世代進行とする 各格子の状態は2値(0か1)とする 次世代のある格子点の状態は、現世代のその格子点の状態か、その格子点と隣接する格子点との状態によって決まるものとする 次世代の状態が…

伝達の浮動と組み換えの浮動

こちらから 個のハプロタイプが独立に遺伝的浮動するときには、アレル頻度がでが浮動する ハプロタイプが個の2アレル型多型(SNPのようなものもの、2アレル型=diallelic)でできているとき ハプロタイプの頻度は上記のとおり遺伝的浮動する この浮動は、ハ…

固定する

こちらから 遺伝的浮動においては、ドリフトアウトによって特定のアレルのみに固定していく 固定するのは、アレル頻度pから始まれば、かた方のアレルにpの確率で、もう片方のアレルに(1-p)の確率で固定する エントロピー的に考えればとなるだろう ドリフトア…

遺伝的浮動の確率計算説明用Rコード

この図の説明 #”a”と”b”の集団を作る Na<-1;Nb<-11;k<-4 Ns<-Na+Nb A<-c(rep("a",Na),rep("b",Nb)) A #k倍する B<-rep(A,k) #Ns個抜き取る sample(B,Ns) Niter<-1000 #Niter回、繰り返して Numa<-rep(0,Niter) for(i in 1:Niter){ S<-sample(B,Ns) Numa[i]<-…

状態遷移

有限個の状態の離散的世代経過を状態間遷移関数でシミュレートすれば、遺伝的ドリフトを試せる。 #染色体N本中p本が着目アレル #それがk倍になった後に、N本を抜き出し #そこにi本の着目アレルがある確率 probDrift<-function(N,p,k,i){ kN<-k*N kp<-k*p kNp…

ドリフトのアレル頻度変化のグラフ作成

ごく大雑把なつくりのドリフトシミュレーションソース package popGenet;public class Drift { /** * @param args */ int initpopsize; double mutrate; int numgen; //int popsizepattern;//0 constant, 1 exponential double expcoeff; public static void…

関連する記事はこちら。 遺伝的浮動 多面体 連鎖不平衡の正四面体表現 まず、集団の2SNP、4ハプロタイプの初期頻度を与え、集団サイズを固定したうえで、次世代のハプロタイプ型は当該世代のハプロタイプ構成頻度からランダムに選ぶことで浮動をシミュレー…

ランダムドリフトにおけるアレル頻度変化

今、アレル頻度p,1-pなる対立遺伝子座がある。有効集団サイズNで一定であるときにこの座のアレル頻度は遺伝的浮動により、固定(p=0 or 1)となる。その途中経過をプロットするエクセルである。入力値は、初期アレル頻度、経過時間、有効集団サイズ、および、…

3 多アレルの場合

上記記事は、2アレルの場合であった。p,(1-p)というアレル頻度の状態から遺伝的浮動の結果、どちらか片方のアレルに固定される確率過程を扱ったということである。 2アレルでない場合もある。遺伝的浮動は、「存在していたアレルがついに消滅すること」で…

2 中立な多型の遺伝的浮動と拡散方程式

拡散方程式は次のようになる。ただし、Nは集団の大きさ 、ただし、xは0より大、1より小 この拡散方程式の厳密解 ただし、は超幾何関数(これについてはこちら) 超幾何関数は、この記事にもあるように、無限個の項の和で定義されるが、実は、のが効いていて、i…

1 拡散方程式で表す遺伝的浮動

遺伝的浮動とは:記事はこちら 拡散方程式 物理現象・熱力学現象を既述するのに、偏微分方程式が用いられる 拡散方程式は、時間に関する偏微分と空間に関する2階偏微分(と1階偏微分との和)が比例するという方程式で、拡散現象や熱の振る舞いを記述できる …

遺伝的浮動(Drift)

集団中にの多様性の素である変異はたえず起きているが、そのうちの大多数は集団中に残ることなく消滅する。理由は、変異配列染色体が次世代集団にかならずしも引き継がれないためである。簡単のために、100染色体があって、次世代も人口増加はなく100染色体…