ぱらぱらめくる『An Introductory Course on Non-commutative Information Geometry』
- PDF:An Introductory Course on Non-commutative Information Geometry・・・めくるには体力がまだ不足しているので、『めくる前』の整理をすることにする
- ぱらぱらめくる前に。動機
- 数の概念の拡張として作用を考える(演算子・作用素というパラダイム)
- 数の概念を拡張していくと、複素数が登場し、大小比較ができなくなる。さらに行列を考えると、積の可換性が失われる。そういう意味で行列は拡張された数
- 同様に、関数を、ある値(のセット)を取って、ある値を返すものとしたとき、関数を足したり、係数倍したりできるので、関数自体も、数らしさを持つ(関数+関数=関数、係数x関数=関数)。この観点で関数を数の拡張とみなす
- いずれにしても、数も数の拡張としての行列も関数も、抽象的なベクトル空間の点とみなせるし、行列の集まり・関数の集まりがベクトル空間として扱える
- ある性質を持った関数の集まりが環をなしているとき、その関数の環は空間(多様体)のように見える。関数の環を考えることと、対応する空間を考えることは同じことになる。ここで考えている関数は積に関して可換なので、対応する空間も可換性を持った空間になっている
- 作用素というのは、ベクトル空間の点を取って値を返すものでる。作用素(演算子とも言う。英語でoperator)は量子論での物理量に相当するように、古典物理学では「ある値を持つもの」という意味で「数」だったが、量子論では「作用素」であり、「行列・テンソル」の形をしている。また、線形作用素を考えるとき、線形汎関数Wikipedia)として作用素を見ることもできる。このように作用素を考えると行列演算子的に見える。行列なので積が非可換
- 他方、作用素を、「点」を取って「値」を返すと考えると関数に見える
- 結局、作用素は行列的な数の拡張でもあり、関数的な数の拡張でもある
- 関数的に拡張したと考えれば、(可換性を持った)空間に対応づくし、行列的に拡張したと考えれば、非可換性を持つ
- 両方の性質を持つ作用素には、非可換性を持った空間に対応しそうである
- さて。情報幾何では関数が多様体になっているとともに、KL-divergenceが非対称である。非可換性を持った空間を考えることと相通じる感じがする
- ということで、非可換作用素環とその空間を情報幾何とつなげるとどうなるのかを考えることは興味深い
- 以上が、この『ぱらぱらめくる』シリーズの動機
- 数の概念の拡張として作用を考える(演算子・作用素というパラダイム)
- 『ぱらぱらめくる』前に基礎事項の確認