概論〜あいまいな「確率情報」を活用して判断するための準備1
- この記事の構成
- 目次はこちら
- 概論
- こちらは鑑別診断の話題
- こちらは、DNA多型マーカーを用いた個人識別の話
- こちらでは行方不明者に関する情報を用いて、ある個体が探されている人であるのかの判断をする話。事前確率、事後確率が登場する
- どちらも、次のような『曖昧な情報』を活用せざるを得なくなる
- 鑑別診断の場合
- すべての疾患の有病率が知られているときに、ある主訴を得た後での、診断名の事後確率を求めよ、という問題
- 有病率がそもそも正確には知られていないのだが、それは知られていたとすれば、それを持って、主訴を取る前の事前確率とすればよい
- ここで、主訴を聞いた後の事後確率を計算するためには、すべての診断名について、あまたある主訴のうち、ある特定の主訴を主訴とする確率、がわかっていなければならない
- ならないが、そのような統計はない(少なくとも、日常的には使わない)
- あるのは、ある診断名のときにどのような症状を有し得るか、とかの情報である
- このように、鑑別診断にあたっては、ほしい確率が正確には知られていない
- DNA鑑定の場合
- DNA多型の情報は確率にしやすいが、それ以外の情報を合わせなければならない
- 発見された個体の推定年齢がわかったとしよう。探された人の年齢と合致するかどうかは、推定年齢について確率分布が知られていなければならないが、20−40歳と言ったときに、0−20歳と41歳以上の確率は0で、20−40歳の確率は等確率なのか、どうかといえば、???である
- 鑑別診断の場合
- このように、曖昧な情報があるときに、どうやって、判断を下しているのか、そのやり方は適切なのか、やり方に個人差はあるのか、個人差はどれくらい大きいのか、そんなことを考えたい
- そんなことを考えたいが、いかにも大変なので、簡単なところから出発しよう
- 次の記事に続く