ルールイン・ルールアウト〜あいまいな「確率情報」を活用して判断するための準備4
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- ルールイン・ルールアウトとは何をしているのか
- ルールインとルールアウトは、それぞれ、「ある診断名に確定すること」、「ある診断名の可能性をゼロとみなすこと」である
- ルールアウトは、可能性のある診断名の数を減らす作業でもあるが、それよりは、ルールアウトしないと、起こさなければならない行動がある場合などに相当すると考えるのがよい
- ルールインは、他の診断名の可能性をゼロにはできないが、「この診断名だったら何かをしなくてはならない」という状況にあるときに、その行動を起こす根拠として機能する
- いずれも、心筋梗塞など、緊急性を有する診断名において、診断の判断分岐を進めるよりも、診断に基づいた行動分岐を進めることの方が患者利益が大きい場合に有用な作業である
- このような「ルールイン」「ルールアウト」を実施するには、
- ある程度の事前確率があり
- ルールインの場合には、実施することによって、十分に事後確率を上げることのできる検査があること
- ルールアウトの場合には、実施することによって、十分に事後確率を下げることのできる検査があること
- ルールイン・ルールアウト用の検査が同一であることは便利である
- これを言いかえると
- 検査を使用する状況に照らして(事前確率に条件がある)、PPV、NPVが十分であること、となる
- 検査の感度・特異度が問題なのではないこともわかる
- またこのようなルールイン・ルールアウトのための検査は、侵襲性・コストの点で、実施しないことによる不利益を実施することの利益が上回ることが求められる
- この侵襲性・コストの利益・不利益は、診断名の事前確率に左右される(事前確率が低いときに侵襲性・コストの大きい検査を行うことは、全体の不利益を大きくする)
- この侵襲性・コストの利益・不利益は、診断名の事後確率に引き続く行動分岐にも左右される(ルールインした後、他の条件によって行動分岐が制限され、利益が制限される場合(手術という行動が利益を増すことが多いが、手術の適応がない場合にはその利益はもたらされない)には全体の利益は減じる)