翻訳調節(Martlyn Kozakの2つのReviewsリスト)
- 1. Pushing the limits of the scanning mechanism for initiation fo translation. Review by Marilyn Kozak, Gene 299 (2002) 1-34
ScienceDirect - Gene : Pushing the limits of the scanning mechanism for initiation of translation Gene Abstract (2002)
- 2. How strong is the case for regulation of the initiation step of translation by elements at the 3' end of eukaryotic mRNAs. Review by Marilyn Kozak, Gene 343 (2004) 41-54
ScienceDirect - Gene : How strong is the case for regulation of the initiation step of translation by elements at the 3′ end of eukaryotic mRNAs? Gene Abstract (2004)
2Reviews各論
- 1. Pushing ...
- Scanning mechanismとそれからの逸脱
- First-AUGルール(大原則)
- 逸脱理由
- Inhibition by upstream AUG codons
- -ORFが閉じてしまう上流AUGの下流にあるORF(+)のAUGは利用される
- -ただし、効率の低下はある
- -Inhibition by secondary structure(GC-rich配列による2次構造形成)
- -Non-AUG start codons (ACG or CUG)
- Scanning mechanismに合致しない場合の生物学的意味
- Leaky scanning
- Context-dependent leaky scanning
- AUG配列の周辺塩基配列のパターンにより、翻訳開始AUGとしての適切度が変わる
- 複数のAUGが用いられて、異なるフレームのペプチドが1mRNAから翻訳される場合も
- Context-dependent leaky scanning
- Reinitiation
- 上流の短ORFに引き続いて、AUGが用いられること
- 上流ORFの長さの影響を受ける
- cDNA解析による上流の短ORF-AUGとそれに引き続くreinitiationの同定は、cDNA配列データの信憑性の問題があるために、容易ではない
- 脊椎動物の5'UTRはGC-richであるが、targeted mutagenesis解析では、下流のAUGの利用を制限している場合が多いというデータもある。
- mRNAの転写開始点はまちまちであり、また、mRNAが必ずしも翻訳されるとは限らず、さまざまな転写開始点を持つmRNAとそれが翻訳されるかどうか、また、翻訳されないmRNAが翻訳されるmRNAの翻訳にどのような影響を与えるか
- mRNAの翻訳調節に影響を与える変異とそれによるヒト疾患
- AUG start codonとそのcontext配列に起きた変異
- 翻訳への影響ではなく転写物の安定性に影響する場合もある
- 上流AUGの破壊・新生を引き起こす変異
- AUG start codonとそのcontext配列に起きた変異
- 翻訳開始点調節に関する解析上の課題
- Scanning mechanismとそれからの逸脱
- 2. How strong ...
- Closed-loop model
- CapにeIJ4F
- TailにPABP(PolyA-Binding Protein)
- eIF4GとPABPの会合->mRNAの環状化
- UTR-binding proteinsによるmRNA翻訳調節
- Closed-loop model
サマリーを終えてのコメント
- この2報は翻訳調節学者の立場からのレビューである
- 翻訳開始AUGも、3'UTR結合因子による翻訳調節も、その機序は、基本ルールとそれからの逸脱規則からなり、精密な調節機構は基本ルール・逸脱規則がそれぞれ生理的に機能することによって達成されていることを主張している
- その主張は(おそらく)真実である
- また、その立場に立つとき、事例解析的なin vivo, in vitro解析によってしか、解明されないことを認めつつも、その解析にもおのずと限界があり、その指摘そしている
- スクリーニング的解析(cDNAのライブラリ的解析や、in vitro翻訳実験に基づく解析)については、そのデータと生理的翻訳調節との乖離につき、さらにネガティブな見解を述べている
- 多型解析研究者の立場からは若干ことなる意見がある
- 多数の多型から、機能性多型の絞込みをしたり、着目多型の機能性配列の持つ機能への影響をin silicoで予測する方法を模索する立場からすると、ある程度、不確かな情報でもないよりはあったほうがよいし、また、多型が機能性配列の機能への影響の評価を実験によって行おうとする場合には、Reviewのauthorが限界を指摘しているような解析を実施することになるわけであり、「限界があることは知りつつも、実施するだろうin vitro解析の結果をin silicoで予測した結果」が得られることは、有意義である