サマリーを終えてのコメント



  • この2報は翻訳調節学者の立場からのレビューである
    • 翻訳開始AUGも、3'UTR結合因子による翻訳調節も、その機序は、基本ルールとそれからの逸脱規則からなり、精密な調節機構は基本ルール・逸脱規則がそれぞれ生理的に機能することによって達成されていることを主張している
    • その主張は(おそらく)真実である
    • また、その立場に立つとき、事例解析的なin vivo, in vitro解析によってしか、解明されないことを認めつつも、その解析にもおのずと限界があり、その指摘そしている
    • スクリーニング的解析(cDNAのライブラリ的解析や、in vitro翻訳実験に基づく解析)については、そのデータと生理的翻訳調節との乖離につき、さらにネガティブな見解を述べている
  • 多型解析研究者の立場からは若干ことなる意見がある
    • 多数の多型から、機能性多型の絞込みをしたり、着目多型の機能性配列の持つ機能への影響をin silicoで予測する方法を模索する立場からすると、ある程度、不確かな情報でもないよりはあったほうがよいし、また、多型が機能性配列の機能への影響の評価を実験によって行おうとする場合には、Reviewのauthorが限界を指摘しているような解析を実施することになるわけであり、「限界があることは知りつつも、実施するだろうin vitro解析の結果をin silicoで予測した結果」が得られることは、有意義である