遺伝的浮動(Drift)



集団中にの多様性の素である変異はたえず起きているが、そのうちの大多数は集団中に残ることなく消滅する。理由は、変異配列染色体が次世代集団にかならずしも引き継がれないためである。簡単のために、100染色体があって、次世代も人口増加はなく100染色体が引き継がれるとする。ある染色体のコピーが次世代で2つ以上認められることは当然ある。そうすると、それ以外の染色体のいずれかは、次世代に引き継がれるていないことになる。この点に着目すると、変異が集団中で占める割合は、変異発生時には、1/2N(diploid個体数Nに対して、染色体数は2N)。その後、時間経過とともに、増えたり減ったりし、消滅するか、逆に、その変異アレルが集団中のすべての染色体を占めるに至る。

ある染色体がどのくらいの確率で次世代に伝わらないか、というと、Wright-Fisherモデルのもとでは、約0.368である。したがって、新規に生じた変異の1/3は1世代も伝わることなく消滅することになる。その数式的説明は以下の通り

  • 今、diploid個体数Nとする。ある染色体は1/2Nの頻度であることになる。この着目染色体以外の染色体の頻度は1-1/2Nである。もし、次世代のdiploid個体数が同じくNであるとすると、2N染色体が出来上がることになるが、着目染色体以外のみでこの2N本が出来上がる確率は
    • (1-¥frac{1}{2N})^{2N}である。この関数は、N¥rightarrow ¥inftyにおいて収束し、その値は¥frac1e=0.368である
    • 掲載図は、N=1から33までのプロットで、Nが小さいうちから、収束値に近い値が得られることを示す。

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