オッズ比のマルチプルテスティング補正

たくさんのマーカーで関連検定を行うと、たくさんのp値が出る。今、p=10^{-8}が出て、ゲノムワイドスキャンの文脈でも、有意な関連であるとみなされたとする。
言い換えると、ゲノムワイドスキャンの文脈ではp_{corr}=5\times 10^{-2}(マルチプルテスティング補正後のp値が、通常のα閾値をクリアした)となったということ。
このようなマーカーに観測されるオッズ比は、大雑把に言って、p=10^{-8}を出すようなそれは、現在の複合遺伝性疾患のケースコントロール関連解析にあっては、OR~1.5-2とか、そのくらいのものである。これは素のORである。この素のORには、素の信頼区間がつけられることが多いが、それは素のp値が10^{-8}と非常に小さい値であることからわかるとおり、95%信頼区間の下限値は、1よりもはるかに大きい(素のp値が0.05くらいのときに、素のORの95%信頼区間の下限値が1を少し越えるくらいである)。
しかし、今、マルチプルテスティング補正後のp値は0.05であるから、マルチプルテスティング補正後のORの95%信頼区間の下限値は1を少し越えるくらいに補正されるはずである。
その補正法は、こちら、など。
ちなみに、マルチプルテスティング補正後のp値が、α閾値をわずかにクリアしたような個別マーカー関連検定のORは、ORの信頼区間の下限値がわずかに1を越える程度で、それより少し大きめの値が、ORの代表値であり、信頼区間の上限値は、大きいほうにある程度の裾野を広げるが、素のORほどには大きくない。
マルチプルテスティング補正後のp値が、圧倒的にα閾値をクリアしているような場合には、マルチプルテスティング補正後のORの代表値とその信頼区間は、素のORの代表値とその信頼区間とに近づく。
参考文献
Estimating Odds Ratios in Genome Scans: An Approximate Conditional Likelihood Approach
The American Journal of Human Genetics, Volume 82, Issue 5, 1064-1074, 17 April 2008
by Arpita Ghosh, Fei Zou and Fred A. Wright