正単体座標系

  • 『正単体座標系』は、和が一定であるという制約を持つN+1個の変数のセットに対して、N次元空間座標を対応付ける系である
  • 以下、説明
  • 正単体
    • 正単体とは、2次元空間における正三角形を任意の次元Nに拡張したものである
      • N=1の場合は線分
      • N=2の場合は正三角形
      • N=3の場合は正四面体
    • N次元空間にあるN正単体は、N+1個の頂点を持つ
    • 正単体の重心
      • N+1個の頂点の位置ベクトルをv_i;i=1,2,...,N+1とすれば、その重心は\frac{1}{N+1}\sum_{i=1}^{N+1} v_i
    • 重心を原点としたときの正単体の頂点の位置ベクトルv_i'=v_i-\frac{1}{N+1}\sum_{i=1}^{N+1}v_iは、長さが等しく、2つの頂点ベクトルが作る角の余弦-\frac{1}{N}。その和\sum_{i=1}^{N+1} v_i'=0
  • 正単体座標系
    • 原点を重心とするN次元単位球に内接するN正単体の頂点ベクトルの集合をN正単体座標の基底と呼ぶことにし、S_N=(s_i);i=1,2,...,N+1と表すこととする
      • |s_i|=1
      • [tex:=-\frac{1}{N},\text{when} i \not = j]
      • \sum_{i=1}^{N+1} s_i = 0
    • N正単体座標系はN次元空間を張っている
    • N次元空間上の点は、N+1個の値のセット(x_i);i=1,2,...,N+1,\sum_{i=1}^{N+1} x_i =0に一意に対応する
    • このようなS_Nによる位置表現をN正単体座標系と呼ぶことにする
  • N正単体座標系の利用
    • 今、N正単体座標系の原点に、(a_i);\sum_{i=1}^{N+1} a_i =A\ge 0なるN+1個の値のセットを対応づけることとする
    • このとき、(b_i);\sum_{i=1}^{N+1} b_i =Aを満足する値の組(b_i)\sum_{i}^{N+1} (b_i-a_i) s_iなるN次元空間の点に1対1対応で対応づけることができる
      • なお、(b_i-a_i)(b_i)\not = (c_i)ならば(b_i-a_i)\not = (c_i-a_i)であり、逆も真
      • また、\sum_{i=1}^{N+1} (b_i-a_i)=\sum_{i=1}^{N+1}b_i - \sum_{i=1}^{N+1} a_i = A-A=0である
    • このN正単体座標系は、\mathbf{R}^{N+1}の部分空間\mathbf{S}^{N+1} = \{b |\sum_{i=1}^{N+1} b_i =A  \}\mathbf{R}^{N}への1対1対応づけであるとも言い換えられる
  • 正単体座標系のノルム
    • 上記の正単体座標系の規定はN次元単位球に内接する正単体を用いて定めた
    • もうひとつの決め方はN+1次元の正単体を中心に決める決め方である
    • N+1次元において、変量の和がゼロになるような値の組は(1,-\frac{1}{N},-\frac{1}{N},...,-\frac{1}{N}のように、1つの軸で1、残りのN個の軸で-\frac{1}{N}のようなN+1個の点を通るから、このN+1個の点が、N次元の単位球に内接する正単体の頂点に対応付けられるように、N+1個のベクトルを決めることもよい決め方である
  • s_i'=\frac{N}{N+1}s_iを用いて\sum_{i=1}^{N+1}(b_i-a_i)s_i'という対応付けがそれにあたる