体細胞モザイクによる単一遺伝子病
- こちらに、小児自己炎症性疾患CINCA症候群(Genetic and Rare Diseases Information Center (NIH),OMIM)が、その原因遺伝子に関する体細胞モザイク(ヘテロモザイク)を原因として発生することが報告されている
- メンデルの遺伝では「劣性」「優性」とあり、それぞれ、「すべての細胞で2アレル」「すべての細胞で1アレル」の疾患原因アレルの保有が発病と関連している
- これは、全細胞のうちのpのフラクションで、疾患性の活動がqのフラクションで起きている、というような言い方をすれば、「劣性」はp=1,q=1であり、「優性」はp=1,q=0.5である
- 体細胞モザイクでは、p=pa<1,q=0.5
- このように一部の細胞でヘテロであることが疾患の発病に十分な機能獲得をもたらしていることから生じる疑問は、pの値はどのくらい低くても発病するのか、そのpの値とその遺伝子の機能の担われ方(全細胞、もしくは、炎症系細胞は、非常に好感度で、pq=0.01程度でも、全身に病的状態を惹起するだけの力を持つ)をどのようにとらえるか、というようなことだろうか
- Somatic mosaicismによる疾患は、いくつか(ヘモフィリアA、retinoblastoma、familial adenomatous polyposis、複数の皮膚疾患:こちら)知られている。成人の疾患においても、それが関係することがある。極論すれば、Somatic mosaicismはSomatic mutationが受精卵の誕生から死亡するまでのどの段階で起きるかによって分類したものであって、本質的には、「分裂しない細胞が持つsomatic mutation」と同じ。ただし、その変異を持つ細胞の数、体内分布、臓器・組織分布が異なるものである。