遺伝因子推定

  • BRCAPROは乳癌・卵巣癌の遺伝的リスクを計算するアプリケーション(こちら)
  • その他疾患拡張として大腸直腸癌・子宮内膜癌の遺伝的リスクを推定するアプリケーションがCRCAPRO(論文へのリンク)
  • さらに膵癌がPancPRO
  • 基本的には仕組みは同じなので、疾患や条件を変えて使うためには…と、その枠を取りだしたのが、RのBayesMendelパッケージ
  • その紹介記事がこちら
  • nリスク座位を考える
  • 各座位にリスクアレルがあって、個人の保有アレルコピー数は0,1,2
  • 遺伝的カウンセリング対象者s_0はR人の血縁者がいて、都合、R+1人の血縁関係がわかっている
  • このR+1人について着目フェノタイプ(●●癌)かどうか、だとしたら発病年齢はいくつか、発病していないとしたら、何歳まで発病していないことがわかっているか(発病せずに死亡していれば死亡年齢)の情報と、nリスク座位のリスクアレルコピー数の情報(の一部)がわかっている
  • 場合によってはその他の共変量も考慮する。BRCAPROではAshkenazi Jewishかどうかを入れている
  • 与えられた条件を基に、s_0のリスクアレル保有確率を計算する
  • 家系図っていうのはベイジアンネットワークなので、要するにベイジアンネットワークを作って、判明情報(血縁者のアレル保有具合)に照らして、カウンセリング対象者のそれを確率的に算出する。ただし、リスクアレル保有具合とフェノタイプとに関係があるところが、単純なベイジアンネットワークとは異なってくる
  • 基本的には、カウンセリング対象者のリスクアレル保有パターン\gamma_0を条件として、血縁者の誰がいつ発病したかh_0,h_1,...,h_Rの尤度がいくつかを計算することで、\gamma_0の尤度がわかる、という仕組み
  • ただし、\gamma_0からh=(h_i)をいきなり計算するのは(頭の中でやるのは)面倒なので、\gamma_0から血縁者のリスクアレル保持パターン\gamma_1,...,\gamma_Rの取りあわせの尤度を計算し、さらに、そこから、hがどうなるかを計算することで、目的を達する、というやり方を取る
  • このように個人のリスクアレル保持パターン(ジェノタイプ)(\gamma_i)が、発病させるのか否か、発病させるとして何歳のときか、ということがわからないと上述の計算はできない。そのため、\gamma_iによって、年齢ごとの発病確率を関数で与える(生存解析のようなもの)。もし、他の理由で発病前に死亡すれば、その個人は発病しなかったことになるし、すべての人はいずれいつかは発病するという設定をしている。このあたりはいわゆるハザード関数の話で、少し詳しいことはこちらの記事などをどうぞ。
  • 結果として得られるのは、リスクアレルの保有状態の確率分布であり、それに基づく「この後発病するかいなか」の総確率かもしれないし、ある特定の年齢までのそれかもしれない。ここでは、他の病気との兼ね合いが生じるし、「いつまでに発病する」ということと、「ある年齢、その時点での発病確率」ということとは、積分微分の関係にあることも、思い出しておくとよい
    • 経済的なこと、「知らないでおくことのよさ」「知っておくことのよさ」を除けば、もたもたしないでリスクアレルの状態を測定すれば・・・となる。それが判明してもしなくても、特定の保有状態のときの「発病リスク」の計算が変わらないのであれば。そして変えていないように読める…
  • で、ここまで来て肝心のパッケージがCRANなどの公共の場所にないらしいことが判明。こちらダウンロードサイトがあるのだが、" .org and .edu"にしか提供しない、と。ac.jpではだめ、ということのよう。
  • 面倒くさい…
  • さて、ダウンロードできないけれども、これを実行するのに、必要な情報は「非キャリア」の年齢別発病確率と、「キャリア」の年齢別発病確率であることはわかる。これらは、引用している論文で言えば、疫学情報(非キャリアの場合)とリスクアレル保有者を調べた論文発表に基づき、それを生存解析に乗せている、ということ
  • 推定誤差その他、考慮することもあるはずだが、そこには手をつけているようには書かれていないので、ダウンロードするより、自力でいじる方がよいかも(時間がかかりそうだが)