ぱらぱらめくる『Free Probability and Random Matrices』
Free Probability and Random Matrices【電子書籍】[ James A. Mingo ]
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- 価格: 10,691円
- 姉妹編[http://users.uoa.gr/~dcheliotis/Seminario/FPSeminar.pdf:title=Lectures on the Combinatrorics of Free Probability
Lectures on the Combinatorics of Free Probability (London Mathematical Society Lecture Note Series)
- 作者: Alexandru Nica
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: ペーパーバック
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- Asymptotic Freeness of Gaussian Random Matrices
- The Free Central Limit Theorem and Free Cumulants
- Free Harmonic Analysis
- Asymptotic Freeness for Gaussian, Wigner, and Unitary Random Matrices
- Fluctuations and Second Order Freeness
- Free Group Factors and Freeness
- Free Entropy : The Microstates Approach via Large Deviations
- Free Entropy : The on-microstates Approach via Free Fisher Information
- Operator-Valued Probability Theory and Block Random Matrices
- Deterministic Equivalents, Polynomials in Free Variables, and Analytic Theory of Operator-Valued Convolution
- Brown Measure
Asymptotic Freeness of Gaussian Random Matrices
- 確率測度
- 特性関数
- キュムラント母関数。特性関数の対数を取る。特性関数は0周りで正なので対数が取れる。。この係数がの(古典的な確率論での)キュムラント
- モーメントとキュムラントの間には、相互に変換関係が存在する
- 一次元標準正規確率変数には特徴がある
- 一次モーメントは0、二次モーメントは1
- 、
- このという値は、という集合を2つずつのペアに分ける場合の数になっている
- そのことは、2n個から、1番を取り出し、その相手方の選び方2n-1通りを考え、残りの2(n-1)個のペアの作り方の場合分けに相当することからという漸化式から示せる
- ここに、1次元標準正規分布のモーメントが、整数分割・組み合わせと結びついていることが示された
- 正規分布のモーメント・キュムラントと組み合わせとの関係の導入に引き続き、一般化が以下のようになされる
-
- ランダムな正規行列(GUE: Gaussian Unitary Ensemble)
- 行列の各成分が複素生起乱数であって、その平均は0、分散のもの
- と、共役転置でもある
- 共役転置という制約はあるが、それ以外は、行列の成分の実部・虚部の値は(正規分布制約の下で)独立
- 対角成分の虚部は0なので、都合、個の正規乱数によって行列が決まる。この個の乱数を長さの乱数ベクトルと見ると、多次元正規確率変数と同様の捉え方も可能となる。
- この長さN^2の正規乱数ベクトルは、N個の平均0、分散1/Nの正規乱数と、N(N-1)/2*2個の平均0、分散1/2Nの正規乱数になっており
- N^2個の変数同士の共分散は0である
- したがって、この分散共分散行列の逆行列(対角成分が(N,N,...,2N,2N,...)であって、非対角成分が0の行列)によって指定されるN^2次元正規分布に従う正規変数ベクトルによって定まるランダム行列であることがわかる
- また、正規変数ベクトルの場合に分散共分散行列が全体を決めていたが、行列の場合には、変数行列の二乗行列のトレースにその性質が備わっているという
- 具体的には、NxN正規行列は、それを規定する行列B(対角成分が(N,N,...,2N,2N,...)であって、非対角成分が0の行列)を用いて、長さN^2のベクトルとでなる内積が決まる。この内積の値は、XをNxN行列として扱ってを計算したときのトレースと比例関係にある
- したがってがと行列の二乗のトレースで置き換えて表現できることがわかる
- Rで確認しておく
- ランダムな正規行列(GUE: Gaussian Unitary Ensemble)
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- このあたりの、「行列のべき乗のトレース」を問題にするあたりが、*-代数を使った代数的確率論で、行列を確率変数と見たときの、スペクトルに行列のべき乗のトレースを云々、という話につながる
- また、隣接行列のk乗の対角成分はk歩でのサイクルの歩き方の場合の数になることなどとも関係してくる。場合の数は、A->Bの歩き方の場合の数と、B->Cの歩き方の場合の数との積がA->B->Cの歩き方の場合の数になったりするから、ペアを作って、それらの積を取る、という処理が歩き方の場合の数の数え上げと関係する
- 隣接行列と異なるのは、隣接行列の場合には、エッジがあれば1、なければ0というような成分値であるのに対して、正規行列では、平均0、分散1(ないしは1/N,1/2N)というように、「確率変数」になっていること。したがって、「歩き方の場合の数」も数え上げる対象ではなく、「期待値」として取り扱う対象になっていること
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- なお、特性関数・その係数としてのモーメント、キュムラント母関数・その係数としてのキュムラントの間に、組み合わせ関係・組み合わせを用いた分解公式がある(Cumulants_and_moments)があり、また、高階微分と組み合わせ論との関係にはWick's theoremというものがあり、量子力学で役割を果たすが、そのことについても、この章では触れられている
- この組み合わせのことを考え、さらにそれを幾何学的組み合わせ論に繋げるには、partitionとかnoncrossing partitionとかいう概念を理解することが有用らしいので、ぱらぱらめくる『Noncrossing partitions』をやってから、戻ってくることにする
The Free Central Limit Theorem and Free Cumulants
- この先は、ちょっと今の自分には無理。数学的に正しいことが整然と書かれているのはその通りなようだけれど、そのような構成がどういう『意味』を持っているかについての気持ちがついていかないと、「そー、それで」感に押し流される…
- 何かあるのだろう。正規分布のモーメントが、整数のペアリングと関係しており、ペアリングには、なんでも蟻のペアリングのnoncrossing partitions的なペアリングとがあり、その両者を区別することと、その区別に対応する、確率事象・統計モデルとの区別があるのだろうと思う
- ここまで書くと、「なんでもかんでも自由に組み合わせたり順列できたりする」か、何かしら制約のある中(Noncrossingがその制約)での自由な組み合わせ・順列の場合とで確率変数のモーメントが変わってくる→分布が異なる→「なんでも自由~正規乱数的」と言っても、制約依存だ、とそういう話、なのだろうと想像される
- それよりは、整数列の分割がトポロジー的な意味づけができることの方が、幾何には近そうな感じ。特に、曲面の幾何・・・