自由度2のジェノタイプ検定のカイ自乗統計量とトレンドテスト統計量

今、w=\{\frac{r_0}{n_0},\frac{r_1}{n_1},\frac{r_2}{n_2}\}=\{0,\frac{\frac{r_1}{n_1}-\frac{r_0}{n_0}}{\frac{r_2}{n_2}-\frac{r_0}{n_0}},1\}
で表されるモデルを考える。このモデルのY^2が2x3表のカイ自乗統計量\chi^2(df=2)=\sum_{i}\frac{Dr_i^2}{Er_i}+{Ds_i^2}{Es_i}に一致する。
それは、両方の計算式が\frac{n}{r}\frac{n}{s}(\frac{Dr_0^2}{n_0}+\frac{Dr_1^2}{n_1}+\frac{Dr_2^2}{n_2})に変形できることで示される。
また、r=\frac{\frac{r_1}{n_1}-\frac{r_0}{n_0}}{\frac{r_2}{n_2}-\frac{r_0}{n_0}}は、Y^2rの関数としてとらえたときに、\frac{dY^2}{dr}=0の解であることも示せる。Y^2=\frac{n}{r}\frac{n}{s}\frac{(f(r))^2}{g(r)}は、分母・分子ともにrの2次式であり、その値は-\infty \le r \le \inftyの範囲において0以上の有限な値をとる。
f(r)=r\times Dr_1+D_r2,\frac{df(r)}{dr}=Dr_1,g(r)=\frac{1}{n}(r^2n_0n_1+(1-r)^2n_1n_2+n_0n_2),\frac{dg(r)}{dr}=\frac{1}{n}2n_1(r(n_0+n_2)-n_2)であることから、\frac{dY^2}{dr}=0は、たかだか、2つの解を持ち、それは、r=-\frac{d13}{d12}r=\frac{\frac{r_1}{n_1}-\frac{r_0}{n_0}}{\frac{r_2}{n_2}-\frac{r_0}{n_0}}とである。
r=-\frac{d13}{d12}のとき[tex;Y^2=0]であり、それは最小値であることなどから、r=\frac{\frac{r_1}{n_1}-\frac{r_0}{n_0}}{\frac{r_2}{n_2}-\frac{r_0}{n_0}}は、Y^2の最大値を与えることが示せる。

これらから、2x3分割表の自由度2のカイ自乗統計量は、トレンドテスト統計量の最大値であって、それは、r=\frac{\frac{r_1}{n_1}-\frac{r_0}{n_0}}{\frac{r_2}{n_2}-\frac{r_0}{n_0}}のときに与えられることがわかる

ここまでの諸計算式やそれらが相互に一致することなどを示したエクセルはこちら。カイ自乗統計量は、\chi^2(df=2)=\sum_{i}\frac{Dr_i^2}{Er_i}+{Ds_i^2}{Es_i}のような式での算出(エクセル中で『C1』)と、式変形して、トレントテスト統計量の式変形と合流させた後の計算式での算出(『C2』)とを示した。また、トレンドテスト統計量の方は、オリジナルの算出(『T1』)とf(r),g(r)とを用いた式での算出(『T2』)とを示した


また、\frac{Y^2}{dr}=0の解が2つある場合についてのみコメントしたが、解が1つの場合や、解を持たない場合などの特殊な分割表の例を以下に示す。


極小値と極大値をとる場合
10 20 10
5 20 30
極大値のみの場合
10 20 10
5 20 15
極小値のみの場合
10 20 10
5 20 5
極値を持たない場合
10 20 10
10 20 10