ジェノタイプ相対危険度と遺伝形式

  • こちらで、いわゆる遺伝病のことをやっている
  • タイトルが「相関解析」なので(関連解析のことか…)いわゆる遺伝病のことではなく、ありふれた疾患を「従来型の遺伝病」の用語で取り扱ってみる、と言うことかもしれない
  • ありふれた疾患は、ジェノタイプ頻度の置き方が少し違う
  • 2アレル型多型(SNP)がある
  • アレルはMとm
  • 常染色体のジェノタイプはMM,Mm,mmの3通り
    • 一般にアレル数Aのとき、常染色体のジェノタイプ種類数は、A種類のホモと\frac{A(A-1)}{2}種類のヘテロ\frac{A(A+1)}{2}種類ある。ここではA=2の場合
  • その集団頻度はp,qで、p+q=1
  • 集団ではハーディ・ワインバーグ平衡が満足するとすれば(ランダムメイティングを仮定するとすれば)、3ジェノタイプMM, Mm, mmの頻度はそれぞれ、p^2,2pq,q^2
  • 今、複合遺伝性疾患のAffectedとNon-Affectedの2群があって、有病率がrであるとする
  • また、3ジェノタイプMM,Mm,mmの発病リスクの比がmmを基準として、G,g,1と表されるとする
    • G,gをmmを基準とした、MM,MmのGenotypic risk ratio(GRR)と言う
    • 観察分割表でmmを基準にしたときのオッズ比はGRRの近似値になる
  • ここで、(g-1)=k(G-1)とすると、
    • k=1のとき、優性遺伝形式、
    • k=0のとき、劣性遺伝形式、
    • 0 < k < 1のときは、ヘテロのリスクが2つのホモのリスクの間のどこかである場合に相当する
      • k=\frac{1}{2}の場合が、相加形式
      • また、この場合は、g=\frac{G+1}{2}となり、ヘテロのリスクgがホモのリスクG,1の相加平均となっている
      • さらにまた、gがG,1の相乗平均であるとき、g=\sqrt{G\times 1}、相乗形式と言う
  • Affected,Non-affected別のジェノタイプ頻度の計算式を作ろう
  • まず、Affectedから以下のように計算する
    • 3ジェノタイプの割合はG p^2, g 2pq, q^2
    • Affectedは全部を併せてrなので
    • X=G p^2 +g 2pq + q^2と置けば
    • G p^2 \times \frac{r}{X}, g \times 2pq \times \frac{r}{X}, q^2 \times \frac{r}{X}
    • Non-affected はジェノタイプごとに、集団全体の割合からAffectedの分を差し引くので
    • p^2 (1-G\times \frac{r}{X}), 2pq (1-g\times \frac{r}{X}), q^2 (1- \frac{r}{X})
  • ありふれた疾患の「関連解析」では、G,g,1のパターンごと(遺伝形式ごと)に仮説検定をすることもあるが、遺伝形式が不明なので、そぐわない
  • ただ一つの遺伝形式で効率よくスクリーニングするのであれば、相加形式に対応した傾向性のカイ二乗検定(トレンドテスト)などがよい
  • 遺伝形式を相加形式に限定しないで、行う方法にMAX法などがある
  • フェノコピーや浸透率はありふれた疾患でも定義できるが、フェノコピーが大きいこと、浸透率が低いことが前提であるので、不要とは言わないが、そこから入るのは「単一遺伝子病で構築されたやり方に振り回されたやり方」とも見える