Surrogate paradox

  • Surrogate paradoxという話があるそうだ(こちら)
  • 不整脈がある。抗不整脈薬で治療をする。不整脈が抑えられる。ただし、ときとして、致死性不整脈が誘発されて、死亡率は上がる』というような文脈
    • 不整脈薬Xが不整脈という中間形質Sを介して最終形質である死亡Yとどういう関係にあるのか、という話で、
      • X→Sは抑制効果(薬は不整脈を抑える)
      • S→Yは正の関係(不整脈があると、ないよりも死亡を起こしやすい)
      • 素直に考えるとX→Yのトータルの関係は抑制効果(薬を飲むと死亡が減る)
      • のはずなのに、X→Yでは逆転する、という話で、このつじつまの合わなさがSurrogate paradox
  • Surrogateというのは、死亡という「見たい形質」を「代替形質である不整脈」を介して捉えるから
  • これがなぜ起きるかというと、「医学的」観点から言えば、Sの不整脈が「均質ではない」から。「良性の不整脈」と「悪性の不整脈」とが入り混じっているから、こんなことになる、と言う説明ができる
    • 悪性の不整脈があるときにそれを抑制する薬を飲めば死亡は若干減る
    • 良性の不整脈があるときにそれを抑制する薬を飲めば、「良性の不整脈」は抑えられて、「悪性の不整脈」が誘発されて「死亡」は確実に増える
  • この問題はSの「不均質」
  • この「不均質」を取扱可能にすれば、パラドクスではなくなる、とこういう話
  • 遺伝因子解析で言えば、「Xはゲノム」「Sは中間形質(トランスクリプトーム・プロテオーム・バイオマーカー)」「Yは最終形質としての疾患」