ぱらぱらめくる『批評理論入門ー『フランケンシュタイン』解剖講義』
批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)
- 作者: 廣野由美子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: 新書
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- こちらで現代文学理論についてメモした
- 今回は『フランケンシュタイン』を例にした本
- 文学とは縁遠いので、読んでもどこまできちんと著者の意図を理解しているのかは、定かではないが、自分の分野(目の前に情報が出されたときに、それに対してどういうアクションを起こすか)という視点で、この本の内容を考えてみる
- 目次
- I 小説技法篇
- II 批評理論篇
- I 小説技法篇
- こちらは、小説を記述統計したり、内部と全体とを理解したりするための、尺度を提示している
- II 批評理論篇
- こちらは、小説が与えられたときに、それに対するアウトプットを文章として書く作業について書いている。モデルをあてはめて写像することに相当する
- ただし、同一モデルをあてはめても、批評家によってアウトプットが変わるわけだが、それは批評家が持つプライアによるのだろう(ここで言うプライアはモデルあてはめ・フィルタリングにおける実行オプションの違いも含む)
- I 小説技法篇(細目次)
- 1 冒頭
- 2 ストーリーとプロット
- 順序について、書かれている順序と、構成要素が帰属している時間軸での順序とが別であることを言っている。データセットの取得時刻と提示順に関すること、「本当の順序」と「データ取得の都合上の順序」との対比と関連付けられるだろう
- 3 語り手
- 何が「主」となっているかが変わりうることに対応する(か?)。説明変数が入れ替わる、など?
- 4 焦点化
- 観測と、観測行為の観測、というような違いについて。抗体を使って「標識」することは、「直接観察」ではない、というようなことと対応づく
- 5 提示と叙述
- 提示はデータそのもの、計算結果そのもの。叙述はそれに基づくディスカッション。data not shownとして記載するのも叙述
- 6 時間
- いつのことなのか。介入スタディはたいていの場合、即時的。過去のデータを使ったり、プロスペクティブスタディをしたりすると、いつのことなのか、が大事。データベース登録された情報を使う場合も時刻の記録は大事。アプリケーションのバージョン情報もここに含まれる
- 7 性格描写
- 小説の本質。データ解釈の本質。対象を描くことが科学論文
- それをどのようにして描くか、という「論文の書き方」論
- 8 アイロニー
- 9 声
- いろんな登場変数があって、それぞれがデータから主張の声を上げる様子とか?
- 10 イメジャリー
- 行間を読ませること?
- 全部を提示しきらずに主張を通すこと?
- 同じデータでも、出し方、イントロやディスカッションの文章力がある力を持って、論文を読ませてしまうことなどを指す?
- 読者のプライアへの介入の仕方とか?
- 11 反復
- 繰り返し実験
- 相互に依存性があるデータを積んで、蓋然性を上げること
- 12 異化
- マンネリ化している手法でも、使い方、提示の仕方で、新たな発見に導きうること
- 新解釈
- 除外していた仮説の取り込みによる、プライアの激変
- 13 間テキスト性
- プライア依存だと言っている
- 14 メタフィクション
- 提示の全体構成を高階にすること…
- メタアナリシス?
- 15 結末
- 全体には構造がある。1 導入に記したことと同じ
- I 小説技法篇
- 色々な尺度があって、なるほど、そうやって小説を記述統計できるのか、と思わされた
- ただし尺度の取り出し方がad hocな感じがする
- そもそも小説にはこのようなことが書かれうる、それについて、どのような尺度設定ができるか、という体系化ができそうだ
- 特に、時間・空間、登場エージェント(記載される)、非登場エージェント(語り)、真実(点・線、かもしれないし、分布かもしれない)、情報量、尤度変化などの側面で。
- II 批評理論篇 細目次