ぱらぱらめくる『遺伝子 親密なる人類史』

遺伝子‐親密なる人類史‐ 上

遺伝子‐親密なる人類史‐ 上

遺伝子‐親密なる人類史‐ 下

遺伝子‐親密なる人類史‐ 下

  • 目次
    • 上巻
      • プロローグ 家族
      • 第1部「遺伝といういまだ存在しない科学」遺伝子の発見と再発見(1865-1935)
      • 第2部「部分の総和の中には部分しかない」遺伝のメカニズムを解読する(1930-1970)
      • 第3部「遺伝学者の夢」遺伝子の解読とクローニング(1970-2001)
    • 下巻
      • 第4部「人間の正しい研究題目は人間である」人類遺伝学(1970-2005)
      • 第5部 鏡の国 アイデンティティと「正常」の遺伝学(2001-2015)
      • 第6部 ポストゲノム 運命と未来の遺伝学(2015-...)
  • プロローグ
    • 精神疾患の家系内集積を話の端緒に、表現型が遺伝すること、ただし、それは単純なdeterministicなものではないことに触れる。そのうえで、この遺伝現象の理解を支えるものを単位に分解すると遺伝子となるものの、遺伝全体は、個別の遺伝子の理解だけでは難しいことを説明する。
    • 遺伝の単位の遺伝子を理解することを、化学の単位の原子を理解することになぞらえ、原子の理解とその知識の利用の光と影が、遺伝子の理解とその知識の利用の光と影に対応することを示す。
    • 本書の構成が、おおまかには経時的になされていることを記す。DNAの前の遺伝学→DNAの発見と分子遺伝学→遺伝子工学技術と疾患責任遺伝子・関連遺伝子の同定→遺伝的多様性、と話を展開する。
  • 第1部「遺伝といういまだ存在しない科学」遺伝子の発見と再発見(1865-1935)
    • 遺伝では、情報が伝達される、と理解したアリストテレス。情報が物質を「作り」、物質が情報を乗せて伝達される
    • 情報はどのように伝達されるのかは不明
    • 無生物から生物はどうやってできたのか、一度できた生物はどうやって変化・分化して行ったのか
    • 育種による表現型変化と進化との関係を結び付けること
    • 進化を可能にするのは不変と不定、安定性と多様性の両義性
    • 遺伝情報は有性生殖で「混ざる」けれども、消えない→粒子性・離散性を持つ
    • 表現型は優性生殖で「混ざ」らずに、どちらかに偏る(こともある)→優性・劣性
    • ヒトという種の品種改良としての優生学
  • 第2部「部分の総和の中には部分しかない」遺伝のメカニズムを解読する(1930-1970)
    • たくさんの遺伝子とその独立・非独立の関係。非独立の関係の1次元空間地図
    • 現象を解明する生物学と、現象を起こすことを保証する情報学としての遺伝学
    • 遺伝型+環境+誘引+偶然=表現型
    • 進化するポテンシャルとしての遺伝的多様性
    • 「遺伝子は矛盾した性質を持つ特異な分子でできているに違いない。化学的秩序をもちながらも(さもなければ複製や伝達といった一定のプロセスを行うことはできないからだ)、それと同時にきわめて変則的なばずだった(さもなければ、遺伝形質の途方もない多様性を説明することはできないからだ)。その分子は膨大な量の情報を運べなければならないが、それと同時に、細胞の中に収まるほど小さくなければならなかった。…シュレーディンガー
    • 核酸が形質転換を起こす→核酸の3次元構造解析
    • ワトソン・クリック・フランクリンと二重らせん
    • セントラルドグマ
    • 発現調節
    • 発生・分化。線虫
  • 第3部「遺伝学者の夢」遺伝子の解読とクローニング(1970-2001)
  • 第4部「人間の正しい研究題目は人間である」人類遺伝学(1970-2005)
    • 単一遺伝性疾患・複合遺伝性疾患、情報はあるが不確実、遺伝子も多様・個体も多様、新版優生学
    • 疾患遺伝子マッピング
    • ヒトゲノム解読の意義とヒトゲノムプロジェクト
    • ゲノム解読でわかったこと
    • ゲノム解読でわからないことがわかったこと
  • 第5部 鏡の国 アイデンティティと「正常」の遺伝学(2001-2015)
    • ヒト集団の遺伝的多様性
    • 人種間多様性 <<< 人種内多様性、だが、人種推定はできる(高次元空間)
    • 個体間の違いは、種間の違いに比べれば圧倒的に小さい。が、個体は個体間の違いに多くの興味を持って行動する。それは生物とはそのような行動をとることで、「まったくのランダム」な状態からずれたなにかしらの状態であろうとする戦略にたっているから(本の記述ではなく、ブログ筆者の見解)
    • 明快な二値型形質も連続スペクトル傾向がある(ありうる)。それを遺伝子レベルで説明するモデルはある。より確率的に不確かな形質も同様で、その中に多くの疾患も含まれる
    • 遺伝子制御としてのエピジェネティクス
  • 第6部 ポストゲノム 運命と未来の遺伝学(2015-...)
    • ES細胞と遺伝子改変個体
    • 遺伝子治療
    • 遺伝子診断・遺伝子予測と介入的疾患予防
    • 情報利用の個人化
  • 最後に「ポストゲノム世界のためのマニフェスト」の草案が書かれている
    • 1 遺伝子は遺伝情報の基本単位である
    • 2 遺伝暗号は不偏的である
    • 3 遺伝子は形や、機能や、運命に影響を与えるが、その影響を一対一の関係で与えるわけではない
    • 4 遺伝子の多型は、特性や、形や、行動の多様性に寄与している
    • 5 人のある特定の特性や機能「の遺伝子」を見つけたとわれわれが主張できるのは、その特性の定義が狭いためである
    • 6 絶対的な意味においても、抽象的な意味においても、「生まれ」か「育ち」かについて語るのは無意味である
    • 7 新たなヒトが発生するたびに、遺伝子多型や変異が生み出される。それはヒトという生物から切り離すことのできない性質である
    • 8 食事や、曝露や、環境や、偶然が関与していると考えられてきたいくつのかの疾患も含め、人間の疾患の多くは遺伝子から強い影響を受けている。あるいは、遺伝子によって引き起こされている
    • 9 すべての遺伝性「疾患」はゲノムと環境のミスマッチである
    • 10 ときに遺伝子不適合の程度があまりに深いために、遺伝子選択やねらいを定めた遺伝子改変が正当化されるような事例もある
    • 11 遺伝子やゲノムには、化学的・生物学的な操作に対して遺伝子を抵抗性にしている本質的な要素は存在しない
    • 12 人間の介入というわれわれの試みはこえrまでのところ、考慮の三角形(大きな苦しみ、浸透率の高い遺伝型、正当化できる介入)によって制限されてきた
    • 13 歴史は繰り返す。ひとつには、ゲノムが繰り返すからだ。そしてゲノムが繰り返すのは、ひとつには、歴史が繰り返すからだ
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