密度行列、トレース、確率

  • 昨日に引き続き代数的確率論
  • 代数的確率論では、エルミート行列が実確率変数に対応する、という話がある
  • 有名な例としてパウリ行列\begin{pmatrix}1\ 0 \\ 0 \ 1 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix}0\ 1 \\ 1 \ 0 \end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\ -i \\ i \ 0 \end{pmatrix},\begin{pmatrix}1\ 0 \\ 0 \ -1 \end{pmatrix}の線形和としてエルミート行列を作る、というものがある
  • このような確率変数があったときに、この確率変数がある状態を取っているときに、それは、純粋状態の混成になっていると量子力学では考える。純粋状態には確率があり、それの総和が1となる
  • この「状態」は、代数的確率論では、代数的確率空間を、*-代数と状態とのペアで表すが、そこで言う状態である
  • 今、エルミート正方行列を*-代数とする確率空間の状態は、正定値行列と1対1対応することが知られており、それを\rhoとすると、この確率変数のこの状態における「期待値」はTr(\rho a)、ただしaは確率変数に対応するエルミート行列
    • この\rhoは行列であって、代数的確率変数の状態を表現しているものである。そして、正定値行列であり、かつ、トレースが1(固有値の和が1)と言う条件を満たしている。これを、密度行列と言う
  • 一方、ある状態にあったときに、何かしらの物理量を観察するとしたときの、その物理量の期待値、というのも量子力学では大事
  • この物理量がやはり、行列で表されて、この行列の期待値は、今度は、先ほどの状態行列をブラとケットとに(?)分解したものでサンドイッチして計算する、という話がある
  • 量子力学の勉強を始めると、物理量の観測期待値の話と状態ベクトルとの話しが先に出てくるの対して
  • 代数的確率論の方では、確率変数(*-代数の要素)と状態を表す行列のペアという話が出てきたので(多分、それが原因だと思い込んでいるのだが)
  • こんがらがった。ので、この記事をメモする


量子確率論の基礎 (数理情報科学シリーズ)

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