MutationString概要



  • 要旨
    • SNPでできたハプロタイプの親子関係を、中立仮説に基づいた点突然変異のみでParsimony論理によって決定論的に定められる範囲を定め、図示するツール
  • 目次
  • 概説
    • 本アプリケーションの位置づけ
      • WrightFisherモデルによるハプロタイプ順行性生成シミュレーションのアプリケーション"WF_ARG(サイトはこちら)"と同様の描図方法で、逆行性にハプロタイプ生成履歴をシミュレートすることを目的とする。
      • 逆行性ARG推定の試みのうち、変異のParsimonyモデルの部分をアプリケーション化したのが、本アプリケーション"MutationString"である。
      • 逆行性ARG推定では、Coalescentモデルに基づいて、Ancestral Recombination Graph (ARG)を推定する。ARG推定手法の現況については、こちらに概説するが、その中の決定論的なアプローチのひとつが、点突然変異をParsimony(けちな、点突然変異の回数を最少にする)にするアルゴリズムのものが、初期のものとして知られている。これは、組換えが起きていない狭領域に複数の疾患責任変異が存在する場合にそのハプロタイプの親子関係を決める場合などに用いられる。
      • 組換えを含む範囲のハプロタイプの親子関係は、それよりも複雑で、推定方法に定番はない。発表論文などによっては、分子進化学の分野で進められてきたDNA配列から遺伝的距離を算出し、それに基づいてハプロタイプ系統樹を作成している。ただし、このDNA配列からの遺伝的距離の算出は、比較2配列が何塩基異なるか、を基準にしており、上述の『点突然変異-Parsimony』で考慮している要素と変わらない(組換えは原則無考慮)。『Parsimony』が決定論的に樹を作成しようとしているのに対して、『系統樹学』は別の論理で距離行列から最小木を作るアルゴリズムを採用している(だけ)の違いである。『系統樹学』での方法については集団遺伝学解析アプリケーション"Arlequin"に関する解説記事(こちら)を参考のこと