自由度の幾何学表現



  • 今、n個のカテゴリからなる変数Nがある。m個のカテゴリからなる変数Mもある。この2変数N,Mについて、NxM分割表を作成してすべてのカテゴリが独立であることの検定は、(n-1)x(m-1)であることは、よく知られていることであるが、それは幾何学的にはどういうことかを考える。
  • 独立なn個のカテゴリを、n次元ベクトルで表現しよう。そうすると、このn次元ベクトル空間において、観測データがとりうる「座標」は、(x_i),i=1,...,n、ただし、x_iはただひとつが値を1と、残りのn-1個の値はゼロである(基底ベクトルに相当)。3次元のときは(1,0),(0,1)の2点であるし、3次元のときは(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)の3点である。
  • n個の独立した座標点を取りうるが、もし、n-1個の座標点のいずれでもないことが確定した瞬間に、そのデータは、最後のn番目の座標点に存在することが確定する。
  • したがって、n-1個の情報があれば、n次元中の座標がわかることとなる。これが、自由度がn-1ということに相当する。
  • 実際には、n個の基底ベクトルが指す座標から、等距離にある点は、線になる。たとえば、2次元のときには、x=yであり、これは(1,0),(0,1)を結ぶ直線の垂直2等分線である。3次元空間のときには、x=y=zを満たす線である。この線上の点には、すべての基底ベクトルの先端の点からの距離の和が最小になる点があり、その座標は(x_i=¥frac{1}{n})であり、その点から、基底ベクトルの先端までの距離は、¥sqrt{¥frac{n-1}{n}}である。この点(重心)から見ると、すべてのn次元空間の基底ベクトルの先端は、n-1次元空間上に存在している。つまり、n個の異なる座標点を取れるけれども、それはn-1次元空間にあるn個の点であり、n-1個のベクトルによって、n個のすべての座標は与えられることがわかる。したがって、n個のカテゴリを持つ変数Nの次元はn-1である。
  • 2変数N、Mの組み合わせ。2変数は、相互に独立であるとき、それぞれはn次元空間を張る基底n個、m次元空間を張る基底m個を持つ。上述の説明の通り、この基底はそれぞれn-1、m-1次元空間上点になっているので、2変数を組み合わせたときに取りうる座標点は、(n-1)x(m-1)個のベクトルが張る空間上の点として表すことができる。これが自由度に相当する。
  • このように座標変換されたn個のベクトルの任意のベクトルは、それ以外のn-1個のベクトルの和を-1倍したものになっている。
    • たとえば、n=3のとき、(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)(¥frac{2}{3},-¥frac{1}{3},-¥frac{1}{3}),(-¥frac{1}{3},¥frac{2}{3},-¥frac{1}{3},(-¥frac{1}{3},-¥frac{1}{3},¥frac{2}{3})では、最後のベクトルは、前2者の和の-1倍になっている
    • ちなみに、このv_i = (x_k); x_k=-¥frac{1}{n},when k¥ne i,x_i=¥frac{n-1}{n}と、v_jとの成す角¥thetacos(¥theta) = -¥frac{1}{n-1}を満足している