ふっくらした三角形



『形と動きの数理〜工学の道具としての幾何学』 東京大学出版会


形と動きの数理―工学の道具としての幾何学

形と動きの数理―工学の道具としての幾何学

リラックスして読む本として10月30日の記事に引いた本だが、その中でぼんやりと、統計遺伝学に持ち込めないかな、と思うトピックの1つ。「第10章 ふっくらした三角形がほしい」

ふっくらとした三角形。三角形は正三角形が一番ふっくらした感じがする。今、ある条件で複数の三角形の集合を作る作り方があるとする(三角形分割問題)。その構成三角形の形はいろいろだが、総数は等しくなるという。そのような三角形の集合の全体について全部併せてもっとも「ふっくら」した感じの集合を選びたいとする。

いろいろな形の三角形があったときに、「ふっくら度」という1つの尺度に直す作業が必要になる。

複数の尺度が提案できるという。

  • 三角形の内角を小さい順に並べた列が辞書式順序で最大である
  • 三角形の内角を大きい順に並べた列が辞書式順序で最小である
  • 三角形の外接縁を大きい順に並べた列が辞書式順序で最小である
  • 三角形の(内接円半径)/(外接円半径)を小さい順に並べた列が辞書式順序で最大である
  • 三角形の(最短辺の長さ)/(最長辺の長さ)を小さい順に並べた列が辞書式順序で最大である
  • 三角形の(最小の高さ)/(最長辺の長さ)を小さい順に並べた列が辞書式順序で最大である
  • 三角形の内角の60°からのずれの絶対値を大きい順に並べた列が辞書式順序で最小である
  • 三角形分割を構成する辺の総長が最小である

これら以外にも尺度はあるようにも思うが、とにかく、1つの尺度にするにはいろいろな方法があって、どれも規則という意味でよくできている。統計解析でも、多尺度のデータを射影するなどしてより少ない尺度で表したいことがあるが、その処理に似ているのではないか。これぞ唯一絶対の方法があるわけでなく、いくつかある方法のうち、あるルールに従えばベスト、と。。。

ふっくら度は「三角形分割された三角形集合について」という条件があったが、このように、なにかしら、条件をつけることで、尺度の減少に成功しそうだ。