1 遺伝子多型・アリル・ジェノタイプ・フェノタイプ(形質)

  • 遺伝子多型
    • DNA配列は、同一種内で異なる部分がある。それを多型という。集団中での割合を定義に持ち込むこともある
    • 一塩基多型(SNP:Single Nucleotide Polymorphism)
      • DNA配列のある塩基が異なるような多型。たいていの場合、A,T,G,Cの4種類のうち、2種類のどちらかである
    • コピーナンバー多型(CNP:Copy Number Polymorphism)
      • ある配列がタンデムに繰り返され、その繰り返し回数が染色体によって異なるタイプの多型。長さが1000塩基対(1kb)を越えるものを、このように呼ぶ
    • その他の多型
      • タイプ別分類
        • 置換型
        • リピート型
        • 挿入欠失型
        • 逆位
        • 転座型
      • SNPは置換型、CNPはリピート型
      • SNPは一塩基、CNPは1kb以上
      • その他の多型は、さまざまな長さ、さまざまなタイプでいろいろなものが知られている。
  • アリル
    • 対立遺伝子
    • 多型のタイプの別のこと
    • SNPで言えば、AかTかのSNPのとき、Aはひとつのアリル、Tはもうひとつのアリル
    • CNPで言えば、リピート回数が1回であることがひとつのアリル、2回であることは別のアリル、3回の場合もあれば、それも別のアリル
    • アリルの種類数といえば、上の例で言えば、SNPは2つ、CNPは(この例では)3つ。biallelic, diallelicな多型と言えば、アリル種類数が2つの多型、triallelic といえば、アリル種類数が3つの多型
  • ハプロタイプ
    • 複数の多型のアリルの組合せをハプロタイプという
    • 通常、同一の染色体上に乗っているアリルの組合せからなり、そのハプロタイプは、多型間に交叉が起きなければ、ハプロタイプとして伝達される。
      • 多型間に偶数回の交叉がおきたときも、ハプロタイプは変わらずに伝達される。
      • 多型間に奇数回の交叉がおきたときは、ハプロタイプは変化して伝達される(2多型のどちらもヘテロで持っていた場合)。
  • ジェノタイプ
    • 遺伝型
    • 遺伝子多型のアリルの所有の具合で定まる型。ヒト常染色体の場合は、1対の染色体のそれぞれのアリルの複合として決まる。
    • ホモ・ヘテロ
      • 常染色体多型の2つのアリルが同一のとき、ホモ、異なるときヘテロという。
      • SNPの場合は、AAのホモ、ATのヘテロ、TTのホモなどとなる
      • CNPの場合は、コピー数1個と1個のホモ、1個と3個のヘテロなどとなる
    • 2つのアリルを区別しないジェノタイプ
      • CNPの場合などでは、実験の制約などから、1対の染色体のそれぞれのアリルを決められず、2つを合わせたコピー数のみが観測できることもある。このときは、1対の染色体のコピー数の和がジェノタイプとなる。1個と1個のホモのときは、コピー数ジェノタイプは2個、1個と3個のヘテロのときは、コピー数ジェノタイプは4個、2個と2個のホモのときも、コピー数ジェノタイプは4個
  • フェノタイプ
    • 形質
    • ジェノタイプがDNA配列の違いを観測することによって決まったの対して、それ以外の個体の特徴をフェノタイプという。観測できる特徴、定義できる事柄はなんでもフェノタイプである。
    • フェノタイプは、次のように分類する。解析の手法の選択に直結する分類である。
      • 0/1型
        • 2値型
        • ある特徴に合致するかしないか、○か×か、0か1か、というように観測できる特徴
        • ケース・コントロールなど
      • 1,2,3,…型
        • 順序カテゴリ型
        • 3つ以上に分類でき、その分類にはなにかしら順序があるもの
        • 軽度・中等度・重度など
      • A,B,C、…型
        • 非順序カテゴリ型
        • 3つ以上に分類でき、その分類には特に順序がないもの
        • 経口投与・経皮投与・経鼻投与・経静投与 など
      • 量的形質
        • さまざまな値をとるような形質
        • 身長、温度、抗体価、など