駆け足で読む『統計学を拓いた異才たち』

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統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀

統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀

  • その原著。原著に当たることも大いに役立つ。特に概念の理解のために。また、用語の理解するために。

The Lady Tasting Tea: How Statistics Revolutionized Science in the Twentieth Century

The Lady Tasting Tea: How Statistics Revolutionized Science in the Twentieth Century

  • 概要のその周辺
    • ところどころ、日本語訳がわかりにくいので、原著もある方がよいでしょう。
    • 19世紀後半から20世紀とそれ以降の統計学の話。
    • 単一でない値を持つ事象を測定する方法と、その測定データを解釈する論理と、論理によって有用な判断を下すことができるような測定方法に関する学問の成立の話。
    • 理論的な側面もあるが、やはり、どのようなデータがあるか、そこからどのような意味を取り出したいか、という動機に支えられた話になっている。
    • 単一でない値を持つ事象には、生命現象(生命体のばらつきも、生命体の行動の所産も生命現象)が多いので、それに関する話が多い。
    • 単一でない値を持つ事象には、熱力学・統計力学もあり、大きな位置を占めるが、本書では、対象にしていない。
    • したがって、この本の対象時期より古い時期の「統計学的考え方」、この本の対象現象以外に関する「統計学的考え方」は、別途、理解し、全体を俯瞰することが望ましい。
  • 第1章 紅茶の違いのわかる婦人
    • ミルクティの作り方の違いを識別できると主張する婦人のその主張が正しいかどうかをいかにして確認するか、についての考察。実験計画についての導入的章(フィッシャー)。
  • 第2章 歪んだ分布
    • 分布がある。分布は母数(パラメタ)によって特徴付けられる。観測は分布とその母数を教えてくれる。生物の形質を主要な対象(カール・ピアソン)。
  • 第3章 かの親愛なるゴセット氏
    • 標本数が大きくないときの母数の推定・スチューデントのt検定。抜き出し検査(ビール会社ギネスのゴセット氏が匿名で)。
  • 第4章 厩肥の山を調べ上げる
    • 『研究者のための統計学的方法』農学の課題が出発点(フィッシャー)。
  • 第5章 「収量変動の研究」
    • 対照の設定、分散分析、自由度(幾何的意味)。農学からスタート(フィッシャー)。
  • 第6章 「百年に一度の洪水」
    • 極値統計(ティペット、グンベル)
  • 第7章 フィッシャーの勝利
    • ピアソン対フィッシャー。分布は観測データが作るのか、観察データは直接観察不能は分布を知るきっかけを提供するのか。一致性・不偏性・効率性。最尤法。数学としての統計学
  • 第8章 死に至る分量
    • プロビット分析。LD50。薬効・副作用の評価(ブリス)。
  • 第9章 ベル型曲線
  • 第10章 当てはまりのよさを検定すること
    • 適合度検定。検定一般。カイ自乗適合度検定(ピアソン)。有意性検定P値(フィッシャー)。適合度検定を尤度で(ピアソン)。
  • 第11章 仮説検定
    • 帰無仮説と対立仮説。有意でないこと。確率とは。ネイマン=ピアソンの公式。検定一般。
  • 第12章 「信用」詐欺
  • 第13章 ベイズの異説
    • 事前確率。事後確率。ベイズの階層モデル。個人確率。
  • 第14章 数学のモーツァルト
    • 確率の数学的根拠・時系列データの解釈。数学としての統計学(コルモゴロフ)。
  • 第15章 下から見上げた眺め
  • 第16章 母数を取り除く
    • 分布の母数を推定する必要がない・ノンパラメトリック検定(化学者ウィルコクソンン、経済学者マンとホイットニー)
  • 第17章 全体より部分が優れているとき
    • サンプリングするなら、ランダムに(マハラノビス)。政府統計。フラミンガム・スタディ(コーンフィールド)。
  • 第18章 喫煙はがんの原因か
    • 相関と因果。その困難。
  • 第19章 最高の人を求めるのであれば・・・・・・
    • 女性の活躍(ガートルード・コックス)
  • 第20章 ただ、純朴なテキサス農場ボーイとして
    • 抽象数学と応用(ウィルクス)。
  • 第21章 天才誕生
    • 移民の出自。グッド。ダイアコニス。
  • 第22章 統計学ピカソ
    • 多才。テューキー
  • 第23章 悪影響の扱い方
    • ロバスト。正しくないかも知れないデータがある場合(ボックスとコックス)。
  • 第24章 産業を再生した男
    • 企業における品質管理(デミング)。
  • 第25章 黒ずくめ女史のアドバイス
    • 実用的な統計学(ステラ・カンリフ)。
  • 第26章 マルチンゲールの行進
    • 値の系列。次の数の裁量の推定量は直前の値(レヴィら)。
  • 第27章 治療の意図
    • 治験(ペト、コックス、ボックス、デミング、コクラン、ルービン)。
  • 第28章 コンピュータは自分自身に向かってゆく
    • グリヴェンコ=カンテリの補題。エフロンのブートストラップ法。
  • 第29章 隠れた欠点のある崇拝物
    • 統計学はデータのあるところならどこでも使われる。分野が変わると、別の分野での発見が再発見されたりする。