駆け足で読む「『ラプラス 確率論』の解説 『確率論の発展』」 伊藤清著

ラプラス 確率論 -確率の解析的理論- (現代数学の系譜12)

ラプラス 確率論 -確率の解析的理論- (現代数学の系譜12)

  • ラプラスの『確率論』は名著にして古典(読んでない)が

その解説文を駆け足で読んでみる

  • 1 緒言
  • 2 確率論の誕生
    • ゲームを途中終了するときの掛け金の分配に関する考察(パスカルフェルマー)
    • パスカルの三角形の登場、組み合わせ確率論
    • 期待値(ホイヘンス)、条件付き平均値・マルコフ性などの萌芽
    • ランダムなゲームの先行有利の程度計算
      • 囲碁は「ランダムでなく、手を考えるゲーム」だが、その先行有利の程度(『コミ』)が6目半から5目半に減ったというのは、初手が、盤の進行を相当程度、「決めて」いて、そのあと、「一生懸命考えてはいるけれど」「ランダム」に基づく先行有利な度合がある程度ある、それが、コミ、だけれど、「碁の進歩」に伴い、「ランダムさ」が少なくなっているということで解釈可能なのだろうか…
  • 3 大数の法則
    • ベルヌーイ事象で「起きる回数」の割合が「生起確率」に収束することをベルヌーイが示したが、これが大数の法則の始まりであって、ド・モアブルは_n C{\frac{n}{2}+l}(\frac{1}{2})^nが、e^{-\frac{2l^2}{n}}に比例することをスターリングの公式を用いて示し、大数の法則を精緻化した
    • これが中心極限定理の始まり
  • 4 微分積分法の確率論への導入
  • 5 Laplaceの確率の解析的理論
    • 解析的確率論に持ち上げたのがラプラスで、それが、この記事の本
    • 函数
    • 数列の生成函数から、函数の生成関数(ラプラス変換)を導入した
    • そして、フーリエ変換(e^{izx}が出てくる)も考察した
      • Levyの特性関数理論の前身
    • 確率の加法性・乗法性、独立について確たるものになした
    • さらに、母函数の乗法性も出てきて、ド・モアブル-ラプラスの定理が出てくる
    • ここを通して、正規分布の確率論での位置づけが見えてくる
  • 6 Gaussの誤差論とPoisson の少数の法則
    • ガウスの誤差論は、ラプラスの仕事と並進した
    • 観測値・誤差を確率変数の見本の値ととらえる考え方の登場
    • そのうえで、平均値、平均誤差(標準偏差)が出てくる
    • ガウス分布(正規分布)は二項分布の極限で、「観察される回数は、全試行回数が増えていくにつれ、どんどん増える」のに対して、「観察される回数を固定して」極限をとるのがポアッソン分布
  • 7 19世紀後半の確率論
    • 科学が大量現象の研究をするようになり、そのための統計的手法の必要性が高まった時期
    • チェビシェフの不等式、ギッブス分布などが20世紀確率論の発展の土台として整ったのが19世紀
  • 8 20世紀の確率論(i) 概観
    • 測度論的確率論の登場
      • 大数の強法則が測度論的確率論の端緒
      • ウィーナー、コルモゴロフ
    • 特性関数(レヴィ)
    • エルゴード理論(ボルツマン、ポアンカレ)
    • 自然科学(物理学・化学・生物学)とのかかわりの増大も特徴的
  • 9 20世紀の確率論(ii) 測度論的確率論
    • コルモゴロフの測度論的確率論は以下を扱う
      • 有限高次元空間の測度
      • 無限個の確率変数の作る空間の測度
      • 函数空間の測度
    • シグマ加法族、確率測度、確率空間、事象、確率変数、平均値、分散、分散の加法定理などが数学になる
  • 10 20世紀の確率論(iii) Levyの特性関数
    • 特性関数が定義されたことは、それだけで重要。それは、確率分布とは何ぞ、というところの重要なポイントをなしているから
  • 11 20世紀の確率論(iv) 大数の強法則の一般化と精密化
  • 12 20世紀の確率論(v) 確率過程一般論
    • 確率過程は時とともに変動する偶然量を表すための数学的概念
    • 確率変数列
    • マルコフ連鎖は「数列」
    • 確率過程は、微分積分
    • 連続な過程
  • 13 20世紀の確率論(vi) 確率過程特論
    • 加法過程、マルコフ過程、定常過程、マルチンゲール
    • 半群理論を用いて、マルコフ連鎖半群の生成作用素で定まることが示せる。結果、確率論に線形関数解析の手法が導入された
    • 確率超過程:関数を一般化すると超関数となる、それと同じで確率過程を一般化したものが確率超過程
    • 確率場:多変数関数の確率化:さらに、多変数関数のその関数を超関数へと一般化することも
  • 14 20世紀の確率論(vii) 確率解析
  • 20世紀に関する記述は、21世紀がもう少し進んで、整理されるべきなのかもしれない。近くのものは大きく見える、とそんな印象がある(全体像を理解しているわけではまったくないのだけれど)