確率過程の臨床
- Levy過程をはじめとする確率過程についてメモしている(こちらとか)
- 数学セミナーの2012年5,6,7(,8)月号の連載『時空と偶然』の著者、飛田先生は確率過程・ホワイトノイズ・その数学分野としての確立ということをやられてきている(らしい)のだが、その方の座談会記事に、「医療診断」に関するコメントがあり、非常にわかりやすいので、引用しておく
- もとの雑誌はこちら
- 以下、引用
- 『私はよくお医者さんの診断にたとえるのですが、医者は、患者から現在どういう状況にあるかというアウトプットだけを知るわけです。
- そこから、どういう病気が原因で、どういう薬がいいのかという、原因や途中の経過、つまりインプットと途中のノンリニアなデバイスをどうやって知るかということが医者の大事な仕事だと、われわれの目からは見ることができる。
- 一般的に何かを扱おうとする場合、インプットがわからなくて、途中のノンリニアなシステムもわからないということが非常に多い。
- ところがこれまでの数学の方法を見ますと、多くの場合インプットを仮定しているわけです。
- こういうインプットがあって、途中にノンリニアなことがあると、結果としてこうなるというようなことが多い。
- 実際問題に適用する場合に一番大事なことは、インプットをどうやってアウトプットから推測するかということですが、何も資料がないとそれはできない。
- 医者にはインプットを想像するための経験がたくさんあります。
- それを数学的に定式化しないと数学にならないわけです。』
- この引用の背景は以下(これも引用)を読むと、わかりやすくなるので、さらに引用する。
- 『複雑系の考え方…(中略)は、非常に単純なインプットから、きわめて単純な変換過程を通しているのに、出てくるアウトプットの中には無限の複雑性を持っているものがある。
- (中略)つまりごく簡単なセルオートマトンが、とんでもない複雑性を生み出すという話です。
- ところが、飛田先生の場合には、「インプットが 無限の多様性をもっていて、それをあるプロセスで変換すると、むしろ相対的に単純な秩序が出てくる」と言えるような感じがします。
- (中略)複雑でランダムなものがあって、ランダムといっても瞬間的な対応ではなくて、時間とともに変化していく。
- この時間が入っているということは、非常に大きな要素です。
- しかも連続的に時間が入ってくるというのは、連続性というものが裏にあって大きな制約になっていますから、出てくるアウトプットのあり方についても相当大きな制約があるわけです。
- いずれにしても観測されるものが複雑で、しかもランダムで、時間とともに移り変わっている、発展系である。
- そういうものがあった場合に、結果から見てわれわれは何が言えるのか。』
- 時間発展による「累積による複雑性」については、砂山崩し・べき乗則つながりで、こちらに連絡する