病的状態と診断と診断基準
- 非病的状態は空間に分布をなしている
- 病的状態はそこからの逸脱であって、なにがしかのまとまりをもつ亜分布
- 非病的状態と病的状態とには道があることもあれば、両者は分布特性上、区切ることのできないひとつながりかもしれない
- 道は前疾病状態とみなすこともできるし、治りかけとみることもできる。道はかならずしも双方向性ではなく、一方通行で決して元の状態に戻れないこともあれば、別の道を通って元の状態に戻ることもある
- 病的状態への到達経路は異なっても、病的状態としては同一の座標を占めることもある
- 診断は、病的状態である亜分布に名称をつける作業である
- いわゆる「臨床的診断」というのは、亜分布の範囲の決定が非線形的であり・複数名の間でかっちりと言語化したり関数化したりすることが難しいが、判断できるような区切り方のことである
- それに対して「診断基準・分類基準」というのは、そこにわかりやすい区切り面を入れる作業である
- いずれにしろ、「診断」をするときには「Xであるか否か」という判断をすることなので、写像しているともいえる
- 像を結ばせる亜空間が平たいわかりやすいものであるのが「診断基準・分類基準」で、非線形判別分析のようになっているのが「臨床的診断」だろう
- 写像なので、異なる病的亜分布が同一の診断名に落ちることはもちろんある
- このように「診断」という行為は(不適切な判断・決断の確率を上げ過ぎることなしに)以降の判断・決断の効率を上げるフィルタリングの意味がある