Boundary measurement mapの統計学的意味合い

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  • このペイパーでは、平面有向グラフ(ネットワーク)をPositive Grassmannian上の1点に対応付ける話をしている
  • 平面有向グラフをPlabic graphと呼ばれる(無向で頂点が2タイプのグラフを円板内に配置したもの)に対応付けたり、さらに、Grassmannian graph(頂点タイプを2タイプではなく、もっと一般的にしたグラフ)に対応付けたりして、組合せ幾何的な取扱いをする話などがあったり、面白いのだが、その側面とは違う面~統計学的な意味合い(込み入った情報を持っていそうな対象を簡潔な表現にまとめ上げる)として、どう考えるかについて、メモしておきたい
  • 平面有向グラフGがある。頂点数|V|とする。周辺頂点数 Nb,内部頂点数 Ni とする。|V| = Nb + Ni である。
  • 今、Gには、ある自然数 k (  k \le Nb) が取れて、 k \times Nb 行列 M が与えられるという。
  • この行列Mについて、Nb個の列から、k列を取り出す場合の数は、d = \begin{pmatrix} Nb \\ k \end{pmatrix}通りあるが、このd通りのk \times k行列の行列式を連ねたものをPlucker 座標と言い、Mをd次元空間の点(斉次座標になっているので自由度はd-1に減るが…)とみなすことができる、という。
  • この空間をGrassmannianと言う。Nb,kがGrassmannianの種類を定めるのでGr(k,n)と書く。
  • これにより、GをGr(k,Nb)上の点とみなすことができる。
  • 今、Mの要素の与え方に、あるルールを入れると、Plucker座標のすべての値が正になるので、Positive Grassmannian上の点とみなせる。逆にPositive Grassmannian上の点には、Nb,kを満足するグラフ表現も取れるのだと言う。
  • これにより、色々なGのGrassmannian上での相互位置関係がハンドリングできるようになるという、「嬉しさ」がある。これは統計学的に嬉しいことである。
  • もっと嬉しいことがある。
  • Gはd = \begin{pmatrix} Nb \\ k \end{pmatrix}個の座標で表せているし、Nb \times k個の行列要素をその矩形の然るべきセルに置くというルールを付加すれば、d個の値で表せている。
  • さらに、Gの内部頂点(内部頂点は、その1頂点とそれに接続する辺とに着目することで、平面グラフとみなせる)ごとに、それに対応するGrassmannian上の座標(Plucker座標や、その情報を背負った行列表現)が付与できるが、Gのd個のPlucker座標は、この内部頂点のPlucker座標を用いて計算するルールがある。
  • そして、その計算ルールには、Gの有向グラフとしての構造が反映される。
  • これらのことは、Gの簡潔な表現として、Mやそれに定まるPlucker座標があるが、その完結表現が、Gの内部のピースの情報とGの構造とに関する情報を反映していること、また、それらをまとめ上げるルールが、Gに完結表現を可能にしている、ということを意味する。
  • 「情報量の多い対象」に「モデルの族」という枠組みを与え、そのモデルの族の下で「特定のパラメタ値(のセット)」によって、特定のモデルによって説明する、ということに見える。
  • ちなみに、Gの内部の頂点に対応するGrassmannianもPositiveであるし、Gの内部の部分を取り出したサブグラフについてもPositive Grassmannianが対応するという意味で、「Total Positivity」がある
  • このTotal positivityを支えるのは、「引き算を含まない」関係式がGとそのサブグラフに付随するPlucker座標(という小行列式)に成り立つという背景関係である。
  • 行列式同士の関係に「引き算を含まない」関係式が成り立つことから、この情報集約は行列式を用いて構成されるが、「引き算を含まない」関係式で要素同士が繋がっている場合には、同様の「全体はたくさんだが、その部分を確定すると、全体が確定する」、しかも「total positive」という関係が得られる。
  • これが団代数と団変数で説明される(ことが多い?)。