GRIPS遺伝的リスク予測に関する研究の報告の仕方

  • Genetic RIsk Prediction Studies (GRIPS) に関するワークショップ報告
  • Strengthening the Reporting of Genetic Risk Prediction Studies: The GRIPS Statement
  • 少し古くなりましたが遺伝的リスク予測に関する研究の報告のときの要点に関するPLoSMedicineのガイドライン論文です
    • 書き終わってから感じましたが、このガイドラインの言っていることは、普通の論文のすべてに当てはまることですね。書くべきことを書くべきセクションに書いてください(データベースサーチ・データマイニングでひっかけてくるという意味では、どこに書くかは大事)、というメッセージでしょうか
  • 遺伝的リスク予測に関する研究とは
    • 以下の事項を予測するモデルの開発・検証に関する研究
      • 疾患の遺伝的リスク
      • 予後予測
      • 治療反応性予測
      • 治療の副作用予測
    • ここで言うリスク予測モデルとは、統計的アルゴリズムであって、リスクのスコア化の方法、回帰式、サポートベクターマシン・分類木などのより複雑な手法を含む
    • 遺伝的因子のみからなるものと、それ以外の因子を用いるものとを含む
  • ガイドラインとして出された25項目(論文のテーブル1)を以下にまとめます(多少の誤訳は許容→本体論文参照、としていただけたらと思います)
  • タイトルとアブストラクトに書くべきこと
    • 1(a) 遺伝因子を用いたリスク予測の研究であることがわかるように書く
    • 1(b) アブストラクトに次のキーワードを含めること: genetic or genomic, risk, prediction.
  • イントロダクションに書くべきこと
    • 2 予測研究の科学的背景と合理的根拠を書く
    • 3 研究の目的を明記し、対象としたモデルを明記する。新規モデルの開発なのか、既存モデルの検証なのか、両方なのかを明記する
  • メソッドに書くべきこと
    • 4 研究のデザインの要点を書く。次の事項を網羅する。対象とした状況・場所・時間に関すること(時期、対象者を収集した期間、追跡期間)・データの集め方
    • 5 参加者の採否基準を書き、採否のための情報の由来と採否判定方法を書く
    • 6 参加者の特性とリスク因子とアウトカムの定義を書く。遺伝的バリアントの定義は、広く使われている命名法にのっとって明確に書く
    • 7(a) 観測変量の情報の取り方は由来と評価測定法に関して詳細に書く
    • 7(b) ジェノタイピングやその他の実験・測定方法は詳細に書く
    • 8(a) 遺伝的バリアントが解析でどのように用いられたかの詳細を書く
    • 8(b) 量的変量が解析にどのように用いられたかの詳細を書く。量的な値をグループ化した場合にはそのグループ化の方法と理由を書く
    • 9 リスクモデルを作るにあたって用いたデータと方法とを明記する。モデルに組み込むことが考慮されたり調べられた変量が何かを明記する。考慮された変量をモデルに組み込むか否かの選択方法に関して詳述する。予測の最遠点を明記する(5年リスクなど)
    • 10 リスクモデルの検証に用いた方法とデータを明記する
    • 11 欠測値の扱い方を明記する
    • 12 リスクモデルの評価に用いた尺度をすべて明記する。その尺度にはすくなくともモデルの適合性と予測能力が含まれること
    • 13 解析されたサブグループと相互作用と予備的な解析をすべて詳述する
  • リザルトに書くべきこと
    • 14 個々のスタディ段階でのサンプル数を書く。各段階での不参加者・脱落者の不参加・脱落理由を書く。ジェノタイピングしなかったサンプルの数をその理由とともに書く
    • 15 参加者の人口動態的(demographic)情報と臨床情報を書く。それにはモデルに組み込んだリスク因子を含める
    • 16 リスクモデルに用いた因子とアウトカムとの間の非調整関連を書く。個々の因子についてフル・リスクモデルにおける、調整後の関連推定値とその精度を書く
    • 17 予測リスク、予測スコアの分布を書く
    • 18 モデルの適合性・予測能力に関する尺度の結果を書く。その他のモデルのパフォーマンスを評価した尺度の結果があり、書くことが妥当であれば書く
    • 19 リスクモデルの検証をしていれば、それを書く
    • 20 解析されたサブグループと相互作用と予備的な解析の結果で書くことが妥当なものは書く
  • ディスカッションに書くべきこと
    • 21 研究の限界と仮定について書く。特に、研究のデザイン、参加者の選択、評価尺度、解析については書く。またそれらが結果に与える影響について書く
    • 22 目的と限界とマルチプルテスティング、同様の研究結果やその他の関連エビデンスとを見渡して全体としての解釈を書く
    • 23 結果を一般化できるかを書く。必要に応じて結果のヘルス・ケアにおける意義づけを書く
    • 24 解析したデータ、リスクモデル、プロトコルが公的に利用可能であるか、利用可能になるかについて述べ、もし可能であれば、アクセス方法を書く
    • 25 研究資金の出所と資金提供者の役割を書く。利益相反の有無について書く